ねじ曲げられた日常




はっきり言って、俺はヘタレだ。
自他共に認めるヘタレだ。

ずっと美術部に入りたいと思ってたのに、高二になるまでずっと入部届を出せなかったくらいのヘタレだ。

俺は別に、この性格を長所とも短所とも思っていなかった。

あの子に出会うまでは―――。










昔から、マンガが好きで、気づいたら絵を描いていた俺。
好きこそものの上手なれって言うけど、自分で言うのはなんだが風景画も人物画も漫画絵も、そこそこのものは描ける。

俺があの子に出会ったのも、近所の公園でスケッチをしてきた帰りだった。


「ただいま…って、誰もいないんだけどさ」


なんて寂しい独り言を言いながら、自分の部屋のドアを開けた。

そして、閉めた。

俺は一瞬、家を間違えたかと思った。
そんなはずはない。
壁に掛かったいくつもの絵は、俺が描いたものだったから。

しかし、今俺の部屋には、あるべきでない存在があった。

俺のベッドに、女の子が寝ていたのだ。


「いや待て待て待て待て、そんなことがあるわけないだろ」


今のは幻覚だ、気のせいだ。
俺はもう一度部屋のドアを開ける。


「…まじでか」


幻覚でも気のせいでもなかった。
その子は、俺のベッドの上で安らかに寝息を立てているのだ。


「あれ…、まてよ」


俺はその女の子の容姿に見覚えがある。

まるでパイナップルのヘタのような、少し紫がかった藍色の髪。
シルバーの髑髏がついた眼帯。
そして極めつけは枯れ草色の丈の短い服。

つい今日、学校で読んだ漫画に出てくるキャラクターにくりそつ(表現が古いか)だった。


「クローム髑髏…?」






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