4.負けたらアカンで


しばらくさくらはボクにすがったまま泣きじゃくっていたけど、やがて落ち着いたのか呼吸が整ってくる。
ボクはさくらを抱き上げると、胡座をかいた膝の上に乗せる。
さくらはまだ少し肩が上下していた。
この子をこんな風にした奴らに行き場のない怒りが渦巻く。
けれど、とにかく今はさくらに安心して欲しくてひたすら優しく背中をさすった。


「大丈夫や…たっぷり泣いたらええねん。
泣いて、涙も全部出して、最後には笑うてくれたらそれでええよ」

「…っ、く…たいちょっ……」


隊長、市丸隊長、って何度もボクを呼ぶ。
アカン…これホンマに生殺しやと思うわ。

やがて、ハッとしたようにさくらが顔を上げる。
次の瞬間にはボクを見てかあっと顔を赤く染めた。


「わ、私っ…市丸隊長に大変なご無礼を…も、申し訳ありません!」

「ええよ、別に。落ち着いたん?」

「え…あ、はい…。すみません」


慌ててボクの膝から下りようとするさくらの腰をグッと引き寄せ、肩に顔を埋めさせた。


「辛かったやろ」

「…っ…はい」

「負けたらアカンで」

「え…」

「こないだ言うたやろ?周りの言うこと気にしたらアカンよ。
なんか言われたら、ボクが決めたことやからって言えばええ。
強くならな、ボクが認めた部下なんやから」


そう言ってボクは、さくらの額に控えめなキスをした。
驚くさくらを横目に、そのまま唇を下に落としていき、赤く残る傷痕をペロリと舐める。


「た、隊長…っ」

「消毒や」

「…ゃ、汚いです、こんな傷…んっ」

幾つもの傷痕に舌を這わせ、首筋を吸った。
これはアカン…我慢の限界や…。


「ボクが全部、洗い流したるわ」


負けたらアカンで


(セックス、しよ?)
(な…隊長!?)
(優しくしたるよ)
(や、っ…あ)



[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!