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おれと神森さん

教室に戻ると、クラスメイトの大半が俺を見やった。そのうちの何人かは嘆息し、はたまた何人かは眉を吊り上げる。
ここまでの反応は男子生徒のもので、女子はと言うと、これまた嘆息する者が少々、残りは複雑そうな顔で手に持った雑誌へと視線を戻すのだった。
自分の席へ歩いていくと、クラスメイトの浜岡(ハマオカ)が俺の机を占領していた。

「やあ、学校一、いや日本一と言っても過言ではない彼女とのラブラブランチタイムは如何だったかな、千歳くん」

浜岡はだるそうに、しかしどこか可笑しそうに口の端を吊り上げて宣った。

「ああ、今日もあいつは全開だったよ。憎らしい程にな」

「そりゃあいい。いつも仏頂面の無愛想少年には良い刺激になるってもんだ。精々彼女と共に仲良く試練を乗り越えてくれよ」

乾いた笑いを溢した浜岡は気だるそうに自分の席へと戻って行った。小学生の時から何かとつるんできた奴だが、時たま掴めないところがあるのだった。
そう、今のように。
試練って、なんだよ。

釈然としない気持ちのまま授業の準備を進めていたら、ズボンのポケットで携帯が震えた。
送り主は決まっている。

『放課後は青山公園に行きましょう!レッツピクニックです!』

文面から滲み出す幸福の色に、俺の頬は自然と緩む。ピクニックなんて柄じゃないな、と思いつつもあいつが、神森が居れば全て絵になる気がした。





あきゅろす。
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