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:)08 R陣と自己紹介





そして、6時間目の授業を受けてただいま帰りの学活です。


「――じゃあ今日はで終わり」

先生がそう言うと学級委員が帰りの号令をかける。


「きりーつ、きょーつけー、れいっ」


流れるような挨拶に先生は何も言わない。
普通はもっとしっかりやれ!って言うのに。


「んじゃあ行くとするかのぅ」

いつのまにか私の後ろにいた仁王くん。


「そうだな!」

「あ、うん」


鞄を持って私達は教室を出た。


…そういえばあのモジャモジャ頭くんって丸井くんと一緒にいたからやっぱりテニス部…?





「あーっ!丸井先輩に仁王先輩っ!今から部活に行くんスか?俺もなんで一緒に行きましょ!…ってそっちの人は…」


と思っていたら本人があらわれた。

うわー…なんていうタイミングなんだ…。


「おー行くかー、あ?…んー…マネージャー」

え!?
名前とかじゃないのかな普通は!


「へーそうなんスか、じゃ行きましょ!」

えぇええ!!
これでいいわけ?!
名前は!聞かないの!!?

「平本ー?何ボーッとつったってんだよ?早く行くぞ!」

「え、ちょっ…まっ…てってば…!!」


そんなに腕引っ張るな!
もげる!!








「…はぁっ…はぁ…っ」


あれからそのまんま走らされました、部室まで。

走るスピードが速すぎんだよ畜生っ!

「お前すげぇな!俺のスピードについてこれるなんてよっ!」

息すら切れてない丸井くんに言われても嬉しくないのは気のせいでしょうか?


「べつにっ…てか、あの2人は…?」

「2人?…あぁ、仁王と赤也のことか?たぶん歩いてきてるんじゃねぇの?」


…歩いてきてる?
それはつまり走ってないのかい?


やっと普通に呼吸できるようになった私は少し睨みながら丸井くんに問う。

「じゃあ何で走ったの…私達」

「…なんとなく?」

何で疑問系!?
普通聞き返すか!


「あ、綾乃ー!今来たところなの?一緒だね!」


丸井くんと話してると今来た感じがする千紗に話し掛けられた。

「あー…うん…疲れたけどね」

「疲れた?なんで?」

「走らされた…、丸井くんに」


丸井くんを指差すとえ、俺!?みたいな目で私を見る。

…他に誰がいるっていう話しだよね、うん。


「またあんた?綾乃が疲れるようなことさせないでよね」


…やばーッ!
この2人犬猿の仲なんだった!
…原因は私だけど…


ていうか!注意することそこじゃないんじゃない!?
マネやれば疲れるしさ!



「空気重たいけどどうかした…っあ、来たみたいだね、じゃあ部室入って」

部室からヒョコッと顔だけ出した幸村くん。
…なんか可愛いなぁ。
てか千紗と一緒にこなかったんだね。



「その前に着替えたいんじゃがのぅ」

いつの間にか私の後ろにいた仁王くん。


あれ?デジャヴ?


「そうだね、…じゃあもう少しここで待っててくれる?すぐ来るから」


幸村くんがそう言うと、仁王くんから順に外にいた人達(丸井くんとか)が部室へ入っていった。



それから数分千紗と他愛ない会話をしていると着替え終わった幸村くんが部室からでてきた。


「待たせたね」

「あ、大丈夫…です」

「そう?…あ、じゃあ部室に入ってきてくれるかな」


出てきたばかりの部室の扉を開ける幸村くん。

何で入る必要が?と思いながらも一歩ずつ恐る恐るだが確実に部室へ向かっている足。

千紗の方を見ると私と同じ疑問を抱いているような顔をしていた。
…だからそこから動こうとしないのね…。


「一応レギュラー陣には先に紹介しておこうと思ったんだ。あ、それとマネージャーが入ることはもうレギュラー陣に言ってあるから」


心でも読まれたかと思うほど今抱いてる疑問にぴったりの答えを幸村くんは返してきた。


「ふーん、そうなの。んじゃああたし先入る」


千紗は幸村くんの言葉を聞くとさっきまであまり動こうとしなかったのが嘘みたいにさっさと部室へと足を進める。


「あ、私も行かなきゃ」

私も急いで千紗の方へ向かう。まぁ行き先は部室なんだけどね。

急いで千紗の方へ行こうとしたせいか手前にある小石につまづいて転んでしまった。


「わっ!…いったー…」

「ふふっ…そんな焦らなくても良いのに」

「あははは…」


部室の前に立っていた幸村くんがこっちに来て手を差し伸べてきた。

それを苦笑しながら掴む私。
…うん、恥ずかしい。

絶対鈍臭い子だなって思われたな。


「じゃあ行こうか」

幸村くんに立たせてもらいそのまんま部室へ行く。

「あー何か緊張する…」

「大丈夫だよ。もう田中さんだって入ったんだから」


そう言いながらドアを開ける幸村くん。
ドアが開いた瞬間中にいた人達みんなこっちを向く。

うわぁー恥ずかしい…。

そんなことを思い始めたら最後、私はだんだんと俯いていく。

幸村くんにこっちこっちと手招きをされてそちらに近づく。

しかしそこはみんながよく見えるところで、自分がよく見える=相手からもよく見える、となるためあまり注目を浴びたくない私にとっては最悪な場所なのだ。


私と千紗が2人並ぶと幸村くんが話し出す。

「みんなも知っている通り、今日からマネージャーが2人入ることになったよ。2人とも自己紹介してね」


「平本綾乃です。よろしくお願いします」

「田中千紗です。よろしく」


挨拶をすると所々からよろしくー、などという声が聞こえてきた。


「それじゃあ今度はレギュラー陣ね」

幸村くんを除く人達が自己紹介を始める。


「真田弦一郎だ」

「柳蓮二だ」

「柳生比呂士です」

「切原赤也ッス!」

「ジャッカル桑原だぜ」


うーん…おじさんに糸目に紳士にワカメにハゲ?…覚えた覚えた。


「俺等はいらねぇよな?」

聞こえた声の方を向くと仁王くんと丸井くんがいた。


「そうだね」

一応私は面識あるしね。


「ちょっと、あたしは知らないんだけど?」

「あ、確かに…丸井くんは知ってるけど仁王くんとは面識なかったよね」


言われてみれば、だ。

千紗はB組じゃないから仁王くん知らないんだった。
丸井くんは屋上で会ってるから知ってると思うけど。


「あーそういや田中は仁王知らねぇのか。んじゃあ仁王、自己紹介」

丸井くんが思い出したかのように言う。
まあ実際そうなんだろうけど。


「仁王雅治ナリ」


「うん、一通り終わったね。じゃあ柳、この2人にマネージャーの仕事教えてあげてくれる?」

「わかった」

「じゃあ柳以外はグラウンド10周!」


「「「「「「イエッサー」」」」」」


と、見事に揃った掛け声を言い部室を出て行った。


嵐がさったみたいだ…。



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