[携帯モード] [URL送信]
:)06 否定の言葉を君は言う





「ま、るい…くん?」


見つかりたくない人NO.1じゃないか。

てか今頃声の主に気づくとは…。


「…お前っ!早く止血…!!」


…何故丸井くんが私より必死になる。

これくらいどうってこと無いのに…丸井くんって心配性なのかね?


「大丈夫だよ?…これくらいで、死んだりしないし」


とは言いつつも止血を始める私。


「そうか…それならいいだけどよ…」


安堵のため息を漏らす丸井くん。

そこまで心配することか?


5分してようやく血が止まる。
そして傷の上に絆創膏を貼る。

何で絆創膏がポケットの中に入ってたんだろ、入れた記憶ないのに。

ようやく一段落ついたところで丸井くんが口を開く。


「なぁ…、何でこんなことしてんだ?」


いきなり聞くか普通。

何か今日最悪なことばっか起きてるような気がする…。

渋々私は丸井くんの質問に答える。


「何でっていわれても…別に理由ないよ」


嘘。理由あるよ。
でも言わない。


「でも…痛いだろぃ?」


痛い…?
もう慣れて痛みなんて感じないよ。


「痛くないよ…今はもう」


私の言葉に丸井くんは困ったような苦しいような…何とも言えない顔をした。


そして言った。

「…もう、やめろよぃ?」

否定の言葉を。


"やめろ"とか"切るな"って言う言葉は私は一番聞きたくない。


「…無理」

むかつく…今日会った人に何でやめろ何て言われなきゃいけないんだ…。


「な、んで…!俺は…平本のためを思っt「なら止めないで放っておいて」…」


私のため…?
丸井くん何様だよ…


「でもっ…!そうゆうの…やめた方がいいと思うぜぃ?…自分傷つけんなっての…」


最後は呟いたのかな?
はっきりと聞こえちゃったけどね…。

てかまた否定発言?
そろそろ堪忍袋切れるよ?


「丸井くんにそんなこと言われる筋合いない…」


今日会ったばかりの人にね…と心の中で付け足す。

まぁ別に今日とか昨日とかは関係ないんだけど。


「筋合いとか!そんなの関係ないだろぃ!?俺は平本が心配で…」


心配…?
何に対しての?
どうゆう意味の?


「別に心配してって頼んだ覚えない」


人間って嫌なこと触れられたりすると話す言葉とか急に冷たくなるんだね。


…あ、丸井くんの顔色が変わった。
怒ってる…とはちょっと違うか。


「確かに、頼まれてない…だけど、こうゆうのはいけないんじゃないかって思ってよ」


ハッ…笑わせないでよ。
いけない?
そんなの私がよくわかってる。


「いけないことぐらい、知ってる」

「じゃあやめろよぃ…やめられんだろ?…リスカなんて」


――――プツッ――――


私の中で何かが切れた。


「やめられる?リスカなんて?…馬鹿言わないでよ!!そう簡単にやめられると思ってんの!?私だって…っ、やめたいって何度も思ったよ!でも…無理なの…っ!!習慣づいたものはそう簡単にはやめられない!!いけないってことも誰より知ってるっ!…簡単に…やめろなんて言わないで…分かったようなこと、言わないでっ…!!!」


言いたいこと全部言った。

私の目には涙が溜まってる。
でもここで涙を流してはいけない…気がする。


キィィィイイ


屋上のドアが開いた。

今度は誰?


「っやっぱり…!」


入ってきた人は千紗だった。

え…?なんで千紗がここにいるの?


頭がついていかない…。


「じゅ、ぎょう…は?」

「授業はもう終わったよ…それより、見られた?」


いきなり本題に入るのね…。


「うん」

「そっか…それで気に障るようなこと言われて怒鳴ったってこと、だよね?」


何でもわかっちゃうのか、千紗には。


「そうだよ、でも丸井くんは悪くないからね?私が勝手に怒鳴っただけだし」

「っ違う…!俺が平本の気に障るようなこと言って、それで傷つけたんだっ!」


丸井の言葉に千紗が反応する。


「丸井くん…って言ったっけ?」

「あ、あぁ…」

「あのさ、傷つけたって…どんなこと言って…?」


怒ってる…千紗が…。
そういえば前もこんなことあったなぁ…なんてのんきに考えてる場合じゃないよね。

千紗の言葉に丸井くんが顔を歪ます。
…そんな顔似合わないって。


「やめろって言った…リスカを…」

「それだけじゃないよね?」

「っ!…リスカなんてやめられるだろって…」


その言葉に今度は千紗が反応する。


「あ、んた…そんなこと言ったわけ?」


千紗がキレそうな予感がして2人の会話を黙って聞いていた私が口を開く。


「もういいよ、千紗。丸井くんだって悪気があった訳じゃないんだし…ね?」

「…うん。でも、次似たようなこと綾乃に言ったらただじゃ置かないから」


そう言い丸井くんを睨む千紗。

睨まれた丸井くんは目を少し見開く。
でもすぐに俯く。


そして私達は一波乱起きた屋上を後にする。




――ブン太side――


平本達が屋上を去った後、俺はただ呆然と屋上の扉を見つめていた…仁王の声が聞こえるまで。


「丸井」

「…仁王」

「そんな顔しなさんな」


そんな顔?
…俺どんな顔してたんだろ。


「俺だってきっと似たようなこと言っとったぜよ?」


…平本がリスカしてること知ってる?
そしたらこいつ、いつからここに…。


「昼休みからずーっといたぜよ。それで平本のしたこと一部始終見とった、あそこから」


そう言い仁王は貯水タンクを指差す。


「そうか…」

「それにしても不思議じゃのぅ。あんなに足速いし友達もたくさんおるのに…なんかあるんじゃろうか…」


顎に手を当てて考え込む仁王。

仁王もこういう奴に会ったの初めてだから分からないんだろうな…。

まぁとにかく謝ってみよう。許してくれるかわかんねぇけど。


「…俺、平本に謝るぜぃ!」

「おー、ブンちゃんの復活じゃー」


頼む、棒読みはやめてくれ…。


「…おう」

「それとな、あの2人をマネージャーにせん?もうじき合宿もあるんじゃし…必要になると思うぜよ」


…急に何を言い出すかと思いきや…まぁ俺も賛成だけどよ。


「いいけど…幸村くんに了解とかもらわないと」

「そうじゃな…じゃあ今行くとするか、お前さんも謝罪するんじゃろ?」


C組にあいつはいないぜ?


「どうせ…えっとー…田中さんの所にいるんじゃろうしな」


よく名前知ってたな…こいつ。


「そうだな。じゃあ行くとするか」


こうして俺と仁王も屋上を後にした。



*next*


丸井くん目立ちすぎっすね、わかります←

←前次→

7/14ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!