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:)04 偽笑顔と負けず嫌い





「平本さん!すごいね!びっくりした!」

「友達にならない?!」

「何言ってるの?私が先に友達になるの!」


あぁ、また始まった…。

足が速いだけでよってくる人たち。


「あはは、そんなことないよ。友達か…よろしくね!」


私は無理矢理笑顔を作りみんなと話す。

そんなことに気付かない人たちは自己紹介を勝手に始める。


「私、千夏!よろしくねっ!」

「佳奈ですっ!」

「里帆だよん♪」


みんな元気いいな…。


「私は…」

「知ってるよ!綾乃でしょ?」


あ、名前呼びッスか…。


「う、うん」


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。

今はありがたく思う。


「あ、なっちゃったね」

「じゃあ着替えよっか!」

「急がないと時間なくなるしね」


上から千夏、佳奈、里帆の順。


私はというと3人に手を引かれされるがままに引きずられて一緒に歩く形になっている。

あれから3人に引っ張られながら女子更衣室に着いてそれぞれ着替え始めた。

体操着脱いでYシャツ着て…着々と着替えていた。

だけど忘れてた…
ここもネクタイじゃん!


私は恥ずかしいことにネクタイが自分で結べないのだ。

いつも千紗やお母さんに結んでもらっていたからな…


仕方ない、やってみるか…

そして私はネクタイ結び初挑戦することになった。






あれからかれこれ5分。


私はまだネクタイを結べていない。


「大丈夫?やろっか…?」


当然千夏達を心配させるわけで…

だけどこう見えて私は頑固だ。自他認めるほどの。


「いい…大丈夫っ」


…けど何度やってもできないわけで。

やば…っ、ネクタイ結べない自分に泣けてきた。


「ちょっ…!ホントに大丈夫!?」

「へー、き…っ」


あぁ、千夏達に心配かけるなんて最悪。
てか可笑しいよね、ネクタイごときで泣くなんてね。


「ごめんトイレ行ってくるから先戻ってて」

「あ、うん…」


これ以上この場にいたくなくて涙を手で拭き取り千夏に一言告げて千紗のいるC組に向かった。


私は千紗のとこへ走った。
更衣室出る前涙を拭いてもまた溢れてくる。

途中丸井くんと銀髪の人にぶつかった気がしたけどそんなの気にとめてない。

C組について近くにいた人に千紗を呼んでもらう。


なんか綺麗な人だったと後から思った。

ボーッとつったってると千紗が来た。


「綾乃?どうしたの…ってあぁ、なるほどね」


どうやら手に持ってるネクタイと私の涙で気付いたらしい。

さすがと言えばさすがだ。


「まったくもう…泣き虫なんだから」


そう言いながらもネクタイを結んでいく千紗。


「ありがと…」


千紗の優しさにふれて嬉しくて笑った。


「…はい、できたよ。今度教えてあげる」

「ん、ありがと」


私は今日はじめて満面の笑みを見せた。


「ふふっ…いえいえ。てゆうか早くしないと次の授業始まるよ?」

「ホントだっ、じゃあ急がなきゃ…お昼ご飯一緒に食べようね!」


それだけ言うと私は自分の教室に戻った。


「…まったく世話の焼ける子ね」

「可愛いね…今の子」

「急に現われないでよ幸村…。あげないわよ綾乃は」

「すごい溺愛っぷりだね」

「知ってる」


こんな会話を繰り広げていたとも知らずに…。





――ブン太side――


驚いた。

あの大人しい平本があんな特技持っていたなんてな。

でもなんでだ?
あんなに速いんだから陸上部に入りゃいいのに。


…うおっ…何か女子の方でもめてるぜ…。

しかも平本中心かよ。


「ブーンちゃん」

…っこいつ…。


「その呼び方やめろって言ったよな?」

「はいはい、それよか平本のこと気になるんか?ずっと見とるけど」


受け流された…まぁいつものことか…。


「あ?べつに見てねーよ。ただ足が速いなって思っただけ」


キーンコーンカーンコーン

丁度良くチャイムがなった。


「着替えるかのぅ」


そう言い仁王は立ち上がり、俺もその後を追った。

そして着替え終わり、教室に向かおうとしたとき平本にぶつかった。


え?泣いてる?…なんで…


「泣いてたのぅ、平本さん」


いや、うん。知ってる。


「あと…追ってみっか」


丁度教室の方に向かって走っていったし。

歩いて教室の方に向かう。

しばらく歩いていると平本の姿が見えた。

…お、発見。


平本の方を見ると泣き顔は笑顔に変わっていた。


その近くにいる知らないヤツ(たぶん転校生か?)があいつの表情を変えたって訳ね。


「プッ…あいつ氷帝から来とんのにネクタイ結べんのか…っくく…」


仁王がうけてる…いやそこまでうけるもんでもねぇと思うぞ?


仁王から平本に目線を変えると平本は今まで見たことのない笑顔で笑っていた。


本日2回目のビックリ。


「あんな顔、すんだな。あいつ」

「…そうじゃのぅ」


あ、笑い収まったんだ。

チャイムがなりそうなので俺たちは教室に入った。

その後に平本が入ってきた。



こいつのあの笑顔、俺にも向けてくれっかんなぁ…?



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