:)03 走って走って走る
最悪…。
転校早々体育なんて…
まぁ別に嫌いじゃないからいいんだけどね?
問題は内容よ、内容。
な!ん!で!50m走のタイム測定なわけ!?
ほんとありえない。
何か知らないけど丸井くんと話してただけで睨まれるし…
体育A組と合同らしいから千紗と一緒じゃないし…
今日運悪くない?わたし
「じゃあタイム測定始めるぞー。転校生は最後だ」
授業が始まり準備体操が終わる。そしてタイム測定が始まった。
先生がそう言うとA組から出席番号順に2人1組で並んでいた。
私の隣は…
「初めまして、平本さん」
気の強い女の子でした…。
うわーうわーうわー。
大人しい子にしようよー。怖いよーこの人ー。
「えと…初めまして…」
「随分、ブン太くんの仲良いじゃない」
嫌味っぽく言ってきたのは私の気のせいか?
「そうですかね…?」
「自覚無しかしら…困ったものね…。まぁいいわ…私一応ここの陸上部のエースなの。貴方を叩きのめしてあげる」
え…意味違くないか?
叩きのめすのめさないの問題じゃないでしょ…。
でもまぁ売られた喧嘩は買わないとね。
「…お手柔らかに」
あー何でだ…。
走りたくないのに…。
「おいお前等!本気で走らないともう一回走らせるからな!!」
うわー先生それ言うか?
周りの女の子もえー!?って顔してますよ?
それに…これじゃあ避けてた道も避けられないじゃない。
「特に平本!ちゃんと走れよ?」
え…なんで私?…
もしかして、この先生…私の記録知ってる?
…もしそうなら厄介だな。
「よし、じゃあ後はお前等だけだな。平本、水野…本気で走れ、いいな?」
あ、この人水野っていうんだ…今知ったわ。
「はい…」
「もちろん」
何で水野さんこんなに気合い入ってるの?
気楽にいこーよ、ねぇ?
「じゃあ…、いちについて」
私と水野さんはスタートする体勢、すなわちクラウチングスタートの体勢をした。
…あ、水野さん意外と良い体勢だ…。
確かにエースだな、なんて思う。
「よーい…」
先生の声で腰を高く上げる。…うん、常識範囲以内にね。
私はそれと同時に前へと重心をかける。
これは前の学校で習った体勢。
なんでも、こっちの方がスタートが早くなるとかなんとか…。
って、集中集中。
私が集中したと同時に笛が鳴った。
スタートの合図だ。
それから1歩、3歩、どんどんスピードを上げていく。
あぁ、風が気持ちいい。
久しぶりだ…こんなに走っていて気持ちいいのは。
ゴールが近づいてきた。
私はそのまま駆け抜ける。
ゴールラインを過ぎ、私はスピードを落としていく。
完全に止まったところはゴールラインから10m離れていた。
…やっちゃった。
思わず楽しくて力の加減を忘れてた。
「速っ…!」
タイムを計っていた女の子は声を上げる。
タイムが気になった私はその女の子の元へ行く。
…、周りの目が……。
大方ビックリとか信じられないとかそうゆう感じの目だろうな。
てゆうか周りを見渡して気づいたけど…男子もこの場にいたんだね。
私は女の子の元へ行きタイムを聞いた。
「あの、タイムは…?」
「すごいよ!!…6"21!」
あー…最近練習していないから落ちてると思ったのに…。
伸びてるなんて思わなかったな。
「そっか…」
「…?嬉しそうじゃないね?」
…当たり前でしょ?
だって私は陸上の世界から逃げたんだから…
「まぁ、色々とあってね…」
女の子と喋っていると先生がやってきた。
「…お前うちの陸上部に入る気はないか?」
「ないです」
「そ、そうか…」
あ、先生…私があまりにも速答したからなのか少し戸惑ってる。
ていうかこっちにきていきなりそれを言う?
「待って…!!何で平本さんはそんな脚をもってるのに陸上部に入らないの!?」
何で…?
そんな脚…?
「こんな脚…いらない。私が入らないのは陸上の世界から逃げたから」
「どうして…?また、またやり直せばいいじゃない!また戻ればいいじゃない!!陸上の世界にっ」
っ、ご最もなことを言うね…
「そうかも、知れないね…」
「じゃっ、じゃあ…!」
じゃあ、何…?
「だからといって陸上部に入るつもりはないです」
「な、なんで…」
「…もうこの話は終わりにしよ?みんな固まってる」
周りを見渡した水野さんは今気付いたようだ。
「っ、そうね…」
私は自然的に先生に目をやる。
その視線に気付いた先生は指示を出した。
「自由時間とする!以上、解散!」
ふぅ…これで千紗がいたらな、とか思う。
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