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:)02 それぞれの出会い





ご飯を食べながら1週間前のことを思い出した。

…今日から、違う1日が始まる。

改めてそう思った。


「ごちそうさま」


――ピンポーン――


ご飯を食べ終わったと同時にインターホンがなった。


「あら、誰かしら」


お母さんは玄関の方に向かって歩き出した。


こんな時間なんだから大体誰かは分かる。
…たぶん千紗だ。



「まぁ、千紗ちゃんじゃない。おはよう。綾乃もうすぐでくると思うからちょっと待っててね」


「おはようございます。はい、お気になさらずに」



ほら、やっぱり千紗だ。

私は即行で歯磨きをし、椅子の横に置いておいた鞄をもって玄関へ向かった。




「おまたせ!」


お母さんと千紗が他愛のない会話をしているところに私は入っていた。


「こら、まずはおはようでしょ?」


…お母さんに注意されたけど。


「そだね。おはよう千紗!」

「おはよう。早くしないと遅刻するよ?」


千紗の言葉でポケットに入れてあった携帯を見ると時刻はもう8時を過ぎていた。



「うわっ!やばいじゃんっ!!早く行こう?!…じゃあお母さん行ってきます!」

「誰のせいよ…まったく、行ってらっしゃい」



靴を履きながら行ってきますの挨拶をして、お母さんの行ってらっしゃいで私は家を出た。



あれから千紗とは氷帝にいた頃の思い出とかこれからの生活のことについて話していた。


そして、立海の門の前に着いた。


「おっきぃね、ここも」


「そうね…でも氷帝のが大きいと思う」


「確かに。あそこより大きい学校なんてあるのかな?」


「ないでしょ。てゆうか速く行かないと」




千紗の言葉で職員室に向かって歩き出す。



職員室に向かう途中、糸目の人と目が合った…気がした。



え…あの人目、見えてんの??




そんな疑問を持ちながら無事職員室の前に着いた。



「クラス、一緒だといいね」


「そうね…じゃあ開けるわよ」


ガラッ


千紗が職員室のドアを開け、私から中に入った。

中に入ると同時に私は挨拶をした。


「おはようございます。この度こちらに転校することになりました、平本綾乃です。よろしくお願いします」


「おはようございます。あたしも転校してきました、田中千紗です」


ぺこりと頭を下げた。

…礼儀だけは忘れないようにしてるからね。

その辺はぬかりなし。


「あぁ、お前等が…おはよう」


30代半ばくらいの人がこっちに来た。


「平本はB組、田中はC組だ。俺はB組の担任の棗光輝だよろしくな。あと、C組の担任はあの書類の山積みのところにいるからな」


へぇ…この人が担任ねぇ。

てゆうか!千紗と離れた…。



「よろしくお願いします」


「じゃああたしはあちらへ行きます。…また後でね、千紗」


C組の先生の所へ行く途中千紗はこっそり耳打ちしていった。


…ふふっ、千紗らしいや。



そういえば糸目の人以外ここの生徒に会ってないけどもう登校時間過ぎてたのかな?

あれから私は棗先生についてこいと言われB組の教室に向かっている。


先生からの質問に答えながら。



大抵は氷帝でのことだった。

校舎のこととか生徒のこととか…そして何故か跡部くんのことまで。



質問に受け答えしていたらいつの間にかB組の教室の前に来ていた。



「それじゃあ平本はここで待ってろよ。それで呼んだら入ってこい」

「はい」


先生は教室の中に入っていった。


すると棗先生と男の子の声が聞こえた。


「こらー丸井!またお菓子食べてるのか!」

「ちょっ…俺のお菓子!なっちゃん取るなよ!」


プッ…なっちゃんって…ウハッ…


「っ…まぁいい。朝の学活を始める…っとその前に…転校生がいる。はいってこい」



早速ですか…心の準備できてないのに。

ガラッ


B組のドアを開け、そのまま教卓の前にきた。

うわっ…赤い髪と銀の髪って…似合ってるけどいいのか?あれ…校則違反だろ…。


「自己紹介をしてくれ」


先生の言葉が耳に届き自己紹介を始める。


「氷帝から転校してきました、平本綾乃です。まだ来たばかりで至らない点がありますがよろしくお願いします」


うっはー自分で言ってなんだけどすっごい堅苦しい…。


そんなことを思っていると先生が私の席を指差した。


「平本、お前の席は丸井の隣だ」



うわっ…赤い髪に隣じゃん…目立って寝れなさそう…。
しかもこの人さっきお菓子の件で先生ともめてなかった?


…転校早々最悪だ。

そう思いながら自分の席に座る。


「俺丸井ブン太!シクヨロ☆」


いやいや、よろしくするつもりないですから。

「えっと…、よろしく…」


ぎこちない笑顔をしたのは自分でも分かった。


「じゃあ朝の学活を始めっぞー」


…あぁ、先生の声が今は神の声だ。


それから私は大人しく先生の話を聞いていた。





――千紗side――


あたしは綾乃に耳打ちをしてからC組の先生の所へ行った。


「あの…、今日からお世話になります、田中千紗です。棗先生から先生がC組の担任だと聞いたのですが…」


「んぁ?…あぁ、貴方が…はしたない姿を見せてごめんなさいね。私はC組担任の月村果歩。よろしくね」


最初の言葉は一体…。


「よろしくお願いします」

「じゃあ教室に行きましょうか」

「はい」


私と月村先生はC組に向かって歩き出した。


C組に着くまで終始無言だった。どちらも話そうとしない。
まぁそっちの方が気を遣わなくてあたしはいいけどね。


「じゃあ呼ぶまでここで待っててくれるかしら?呼んだら入ってきてね」


先生は私あたしが返事をする前に教室に入っていった。

せっかちだなぁ…。


それから数分してあたしは呼ばれた。

教室のドアを開け教卓の横に立ち自己紹介を始めた。


「氷帝から転校してきました、田中千紗です。よろしくお願いします」


言い終わると同時に先生に席を言われた。

ホントせっかちだよな…。


って…あたしの席窓側の一番後ろじゃん。
寝れるし良い席だわ。


「よろしく、田中さん」

…女の子かと思った。
それほど綺麗な人。

後から知ったけど、この人は幸村っていう人らしい。


「…よろしく」


うん、愛想無い。
仕方ないでしょ…これでも人見知りなんだから。


それから朝の学活の続きが行われた。



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