[携帯モード] [URL送信]
:)13 赤也の遅刻と名前呼び





「みんな揃ってるかい?」

「おー」

「じゃあ行こうか」


幸村くんが問いかけ、丸井くんがガムを噛みながら返事をする。


……、あれ?

切原くんまだ来てない、はずなんだけど…。



まさか置いていくの?


なんて思ってみんなを見ると幸村くんや柳くん、仁王くんとかはもうバスに乗り込んでいた。


ホントに置いていく気なのか、とちょっと切原くんを可哀想に思い、みんながバスに乗り込んでいく中私はバスの外で切原くんを待っていた。


すると、前方から荷物を持った切原くんがやって来た。


「…ッちょっ、と…ッ!待って下さいって!!」

「遅いぞ赤也!たるんど「真田うるさい。予定時刻5分も過ぎてるんだから早く乗って。赤也も綾乃も」…あ、あぁ」

「あ、うん」


真田くんの怒声を幸村くんが遮断しバスへと催促をする。


私と真田くんと切原くん以外はバスにもう乗り込んでいた。


…いつのまに。



そう思いながらバスに乗り込む。


後ろでバシーンッ!って音が聞こえた気がするけど…、気にしないでおこう。



バスの中を見渡すと、前の方には幸村くんとかがいて後ろの方に丸井くん達がいた。


千紗はというと前の方にいた。

…うるさいの嫌いだもんね、千紗。



千紗の隣りに座ろうとしたら、丸井くんに腕を掴まれた。


「お前は後ろなー」

「平本先輩!後ろ行きましょーっ」


後ろから切原くんに抱きつかれてちょっと倒れそうになる。

朝から元気だね、切原くん。
頬っぺた赤いよ、さっきの音は幻じゃなかったんだね。


「…わかった。それじゃ私は後ろ座るね?」

「そうしなさーい」


他人事みたいにいうなぁ、千紗。



後ろの方に行ったはいいけどどれの隣りに座ろうか。


右は仁王くんがいて左には丸井くん。
仁王くんの後ろに赤也くんで、丸井くんの後ろがジャッカルくん、かぁ。



やっぱりここは安全そうな人のところに行くべきか…。


グイッ


腕を引っ張られてよろけそうになる。


「な、に…?」

「こっちに座りんしゃい」


「…、うん」

後ろにくればどの席もうるさい気がして仁王くんの隣に座る。


本音を言うと座席をパシパシ叩いてた仁王くんが可愛かったからなんだけどね。


右からあーだのこーだの聞こえるけどこの際無視だ。


「お前さんそんなキャラだったんか…?」


仁王くんがちょっとビックリしたように話し掛けてきた。


「本来はこんな感じの性格だよ?」

「あ、元に戻った」



どう違うか自分ではわからない。
周りの人の方が気が付くのかな。



「てゆうか、私窓側が良いんだけど…」


「随分と話が飛んだのぅ…」


「別に良いじゃんっ…で、変わってくれる?」


「ええよ、…じゃけど何で窓側が良いんじゃ?」



やっぱ聞きますかー…。

でも窓側が良いって言ったら大体何でかは分かるよね。



「酔っちゃうからだよ」


「そうなんか」



手荷物を交換して座る場所を交換。

バスはもう発車していて少し足元がふらつく。



私から通路にでて仁王くんも通路にでたら私から座席の方にいく。


めんどいの一言に限りますね。



座席交換をして暫くボーッと外の景色の見ていると自分に向けられてる視線に気づく。



「なに…?」

「外見て面白いんかと思って」

「面白くはないけど何となく楽しい」

「それって面白いっていうんじゃなか?」



え、そうゆうもんなの?

楽しいと面白いは違うぞこらー。



「んーどうなんだろうね?」

「………、どうなんじゃろな」


仁王くん言葉詰まったね。

会話が途切れたのでまた外を見ようとしたら今度はお菓子を食べている丸井くんに話しかけられた。



「なぁなぁ!そういやさ、何で平本ってジャッカルだけ名前呼び?」

「そういえばそーッスね!何でッスか?」


…ちょっと待って。

ジャッカルってあれ名字じゃなかったの?

んでも桑原って名前の人はいないか…。


あーどうしよう。

いやだって普通間違えないよね…。


よし、こうなったら…!



「ジャッカルくんって何か苦労してそうだからかな」

「んじゃ俺も名前で呼んでください!赤也って!」


え、どうしたらそうなる。

…うっ、キラキラした目で見ないで…。


「赤也、くん…」

「くん付けいらないッスよ!」

「いや、それはちょっと…」



………。

これは不可抗力です。

赤也くんが可愛いのがいけないのです。



「…んーそしたら俺も下の名前で呼んでいいッスか?つーか下の名前で呼んじゃいますね!綾乃先輩!」


…拒否権無しなんですね。

せめて最初は欲しかったよ赤也くん。




「おーいっ!俺を無視すんなっつーの!」


軽く忘れてました。すいません。

髪の色派手なクセして存在感薄いなー何て思ったり。


とゆうか私窓側で丸井くんは通路を挟んだ向かい側…、仁王くんちょっとどんまい的な場所だな。


赤也くんは後ろだったからね、うん。



「あー…えっとなんでしょう…?」

「俺も名前で呼んでくれぃ!」


ピース付きです。

ウインクもしてます。


何か前見たポーズだな。



「え、…やだ」

「なんでっ!?」

「え〜…それは言えない、かな…」


恥ずかしいんですよ…はい。

これだけは口が裂けても言えないなぁ。



「…じゃあ名前で呼ぶか呼べない理由言うかどっちか選べー」

「え、どっちにしろイヤなんだけ「どっちか」…はい」


なんだこれ、誘導尋問か。



「…はぁ、ブン太…くん、これでいい?」

「ん、よろしい。んでさ、何で俺ん時、下の名前で呼ぶの躊躇ってたわけ?」


待て待て待て。


最初と約束が違うぞコラ。


「赤也くんは可愛いからいいの」

「そんな理由なんスか?!」

「え、だめ?」


「つーか俺が聞いてんのはそんなことじゃねー」


…上手く話逸らしたんだけどなぁ。

元に戻さないでよまったく。



「別に名前呼びになったんだからいいじゃん」

「よーくーなーいーっ。知りてぇ知りてぇえ!」



ちょ、なんだ。

ブン太くんってこんなキャラなわけ?

初めて知ったよ。


ちょっと呆気にとられていると仁王くんに話しかけられた。


「気にしたらあかんぜよ綾乃」

「!?」

「ん?どうしたんじゃ?」

「や、別に…」



急に名前呼びになったことにビックリしたけどそれを悟られないように仁王くんに向けていた視線を窓の方にやる。

だけど仁王くんに綾乃って呼ばれたことが頭から離れなくてチラチラと仁王くんの方見ていたら隣からあの独特な笑いが聞こえた。



「お前さんホントおもしろいのぅ。期待通りの反応してくれるぜよ」

「なっ…」

「ちゅーか俺も気になるんじゃけど」



…唐突ですね。
そして何の事かさっぱり分かりません。


「名前呼び嫌がったじゃろ?それじゃ」


思っていたことが顔に出ていたみたいです。

欲しい答えを貰えた。


だけどあまり触れられたくないことだったから聞かなかったことにしようとしたら頬を摘まれた。


「…はにゃひへ(放して)」

「なら教えんしゃい?」

「……」


なんでしょう、これ。
交換条件?

ちょっとちがうか。



「ッハハ!お前何つー顔してんだよ!」

 
お菓子を頬張ってる丸井くんに笑われた。


そういえば途中から仁王くんと話し相手が仁王くんにかわったなぁ。


丸井くんのこと無視したみたいになったけどまぁいっか。



「……、わはっはから、はにゃふはら」


こんな顔でいるのはやっぱり抵抗があった。

自分の中で葛藤した結果、諦めて話すことにした。


「ん、」


どうやら仁王くんにさっきの言葉が伝わったようで摘んでいた手を放してくれた。



「はぁ…」

「早う早う」


ため息を一つ吐いたら仁王くんに急かされた。




「そんな急かさなくもよくない?」

「早う聞きたいからのぅ」

「ふーん」


そんなに聞きたいのかな?

大したことでもないのに…。


………、大したこと…ないけど。


えぇーいっ!言っちゃえ言っちゃえ!!

「男の人を、名前で呼んだことなくて…、だから恥ずかしいの!わかった!?」


早口で言った。途中やけくそになって逆ギレまでしちゃった。
最初は三人ともキョトンとしていたけど次第に笑いが込み上げてきたらしく顔がにやけてる。

すいませんね!しょうもない理由で!


「おまっ…そんだけで、か…っ?」

笑いを堪えながら言うのやめて、なんかむかつくー。


「そうですよーだ」





「ふーんそうなんだ」

「っ!?」


急に聞こえた声にびくっと体が揺れる。

「ゆ、ゆゆゆ幸村くんっ」

「吃り過ぎ。てゆうか合宿所に着いたから降りて?」


うわぁ恥ずかしい。吃るとか吃るとかないでしょーっ。


とりあえず合宿所に着いたみたいなのでバスから降りる。


てかあの3人はいつ降りたんだ…!



*next*

←前

14/14ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!