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双子ルクアシュ










欲するのは、








両親は欲しいものをなんでも与えてくれた。
高級な食べ物、食事。
誰もが羨ましがる、綺麗な衣服。
世界中の子供達が欲しがっている、おもちゃの数々。
今思い出すだけでも、至り尽くせりのサービスだった。
でも、そんなもの全てが、無意味。
ルークにとって本当に欲しいものは、この世に一つだけだから。
それは―――


「アッシュ」


自分の片割れの、アッシュ。
ルークが唯一心から欲しい、と願う愛しい存在。
彼さえいてくれれば他のものなど、いらない。
全てが、がらくた同然。
物も、人も。
全てが、不必要なもの。
視界にすら入ってこない。
瞳に映るのはいつだって、愛しい彼の姿だけ。
両の耳が聴き入れるのはいつだって、愛しい彼の声だけ。
両の手が感じるのはいつだって、愛しい彼の体温だけ。
両の腕が抱きしめるのはいつだって、愛しい彼、だけ。
だから、拒まないで。
この身体は、命は、アッシュの為だけに存在するのだから。


「話って、なんだ…?」
「うん、あのね…俺、アッシュに恋、してるんだ」
「えっ…?」


ルークは長い間、心にしまい込んでいた想いを、伝える。
アッシュが驚いた顔をしているが、関係ない。
自分にとって、今は、人生が一瞬にして変わる瞬間なのだから。


「多分、生まれた時から恋に堕ちてたんだと思う。俺は一回もアッシュを兄弟として見たこと、なかったから」
「ルー、ク…」
「ずっと一人の男として、アッシュ自身を愛してきた」


声が、震える。
身体に力が、入らない。
でも言葉は、止まらない。
想いは、次から次へと溢れてくる。
心が、アッシュを欲している。
そして、一番伝えたかった想いを、今。


「アッシュ、好きだ。生まれた時から、アッシュだけをずっと愛してる。だから、俺の恋人になって下さい」


ルークはアッシュの手を取り、真っ白な手の甲に口付けを落とす。
これがアッシュに触れられる最後になるか。
それとも最初になるか。
全部、アッシュの応え次第だ。
ルークがそっ、と顔を上げると、そこには―――


「アッ、シュ…?泣いてる、の…?」


瞳から涙を流すアッシュがいた。
その姿は儚く、とても綺麗だ。
ルークは思わず見取れてしまった。
しかし次の瞬間、アッシュの唇が動き、一気に現実に引き戻された。


「俺、でいいのか…?ホント、に…こんなっ、俺で……!」


愛しい彼の声が、鼓膜を震わせる。
心を、刺激する。
もう我慢なんてできない。
涙を流しながら必死に言葉を紡ぐ姿が愛しすぎる。
ルークはアッシュの手を引き、思いきり抱きしめた。


「アッシュ以外いらない。アッシュだから好きなんだよ。アッシュだからこんなにも愛しく思うんだよ」
「るぅ、くぅ…!好きっ、俺、も…っ、好き…!ずっと、ずっと、愛してっ…たぁあ…!」


アッシュの本当の想いが、今、ルークに伝わった。
同じように、ルークの想いも。
漸く恋が実ったのだ。
手に入れたのだ。
生まれた時から、欲していた愛しい存在が、今、自分の腕の中にいるのだから。
ルークは泣いているアッシュの涙を舐め取り、唇を重ねた。
初めは啄むような優しいキスを何度も散らせていたが、段々と深くなっていく。
アッシュの唇の隙間から舌を入れて、口内を味わう。
舌同士を重ね、絡めさせる。


「ん…ぁふ、ふっ、んん…ふぁ、はっ」


唇を離すと、銀の糸がアッシュと自分を繋ぐ。
切れなければいい。
初めて触れ合った唇や舌に、益々虜になったから。
もっと、繋がっていればいい。
初めて心が、通じあったのだから。


「アッシュ、愛してる…もう離せないから…」
「うん…一生離さないでくれ…」


二人はもう一度唇を重ねた。
さっきよりも深く、永く―――






心には愛しき君からの愛だけを








Fin








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うちのルークはアッシュ命です←








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