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ルクアシュ










赤薔薇のめき








ルークはアッシュの髪色が大好きだ。
光に当たれば煌めきを放ち、暗闇でもそれが絶えることはない。
綺麗な、赤。
自分の作りもの“朱”とは違う本物。
それなのにアッシュは何故か自分の髪色を嫌う。
アッシュには少しでも自分を好きになってほしいのに。
だから自分が好きにしてみせる。


「アッシュ」
「なんだ?」
「俺、アッシュの髪色、好きだよ」


そう言ってアッシュの髪を少し掬う。
やはり近くで見ても、あの煌めきは変わらない。
寧ろ煌めきが一層強くなっている気がする。
綺麗な、赤。
その時、ルークの脳裏にある花が思い浮かんだ。
そしてその花がアッシュの髪そのものだと、理解した。


「アッシュの髪って、薔薇みたいだね」
「は?何言ってやがる」
「いや、みたいじゃない。薔薇だよ。真っ赤な赤薔薇」
「そんな、綺麗なもんじゃねぇよ……」
「いや、綺麗だよ。でも俺が言いたいのは、そういうことじゃないよ」


アッシュはルークの言っている意味がわからなかった。
しかし一方のルークは意味有りげな笑みを浮かべていた。
そして持っていたアッシュの髪を自分の唇に近付け、口付けた。
愛おしむように、ゆっくりと。


「アッシュの髪が赤薔薇なのは、俺への情熱的な愛の証だからだよ」
「は…?」
「赤薔薇の花言葉は“情熱的な赤”でしょ?だから、アッシュの髪は俺への愛が形となって現れたものなんだよ?」


ルークはもう一度アッシュの髪に口付けを落とす。
唇が、髪に触れる。
燃える真紅から熱が、伝わる。
それは愛が溢れているから。
情熱的な、激しい愛が収まりきれてないから。
でも、愛が溢れていたのは髪だけではなかった。


「こ、この屑がッ!!へ、変なこと言うんじゃ、ねぇッ…!」
「変なことじゃないよ。それに髪だけじゃなくて―――」


ルークは罵倒を繰り返しているアッシュの唇に自分のそれを重ねた。
唇と唇が、触れる。
舌を入れて口内を貪った。
舌と舌が、触れる。
どちらからも同じように熱が、伝わる。
情熱的な、激しい愛が溢れている証。


「ふぁ、んっ…ぁ、んん、あっ…」


だから一滴もそれらを零してはいけない。
互いから漏れる吐息すら、熱をおびて、外へ愛が逃げてしまうから。
ルークはアッシュの後頭部に手を回し、引き寄せた。
一層強く唇を重ね合い、一層深く舌を絡め合い、熱を、愛を共有し合う為に。
吐息すら、口内に閉じ込めて。


「んんっ、る…くぅ…ぁ、ふぁ、はっ」
「ふっ、はっ…あっ、しゅ…」


長い口付けから漸く唇を離す。
アッシュの口の端からはどちらのかわからない唾液が伝っていた。
ルークはそれすらも欲しくなり、舌で絡め取る。
唾液でさえ、微熱を含んでいた。


「アッシュ、わかった?アッシュの髪だけじゃなくて、この真っ赤な唇も、真っ赤な舌も俺への愛が形になったものだよ」
「ルー、ク…」
「だから、嫌わないで。俺への愛で溢れてる髪を、自分を。好きになってね」


ルークはアッシュの両頬を優しい手つきで包み込んで、そう言った。
瞳と瞳も反らさずに。
そして最後に、愛おしむように微笑みかけた。
アッシュはそれを見た瞬間、心が本当に愛で溢れ、初めて自分を好きになれた。
そして心に収まらなかった愛が決壊し、涙となって零れてきたのだ。


「あっ、るっ、く…るぅ、くぅ…!すきっ、だい、すきぃ…!」
「うん、知ってる。俺もアッシュが好きだよ。好きで好きで堪らない。だから俺も同じ」
「お、なじ…?」
「うん、この髪も、唇も、舌も。全部作りものだけど、全身全霊からアッシュへの愛が溢れてる。こんな小さな器じゃ、収まりきらない」


ルークはそう言い、アッシュの瞳から零れている涙を舐め取った。
しかし次の瞬間。
ルークの唇に一瞬だけ、熱が触れた。
伝わった。


「アッ、シュ…?」
「ルークは、お前だ。作りものなんかじゃない。お前から伝わる熱も、愛も。ルークだから愛しいと思うんだ」


アッシュはそれだけ言うと、さっきのルークのように微笑んだ。
ルークもまた、アッシュのお陰で自分が好きになれた気がした。
否、好きにならなければいけない。
アッシュが愛してくれている自分自身を。


「アッシュ、愛してるよ」
「俺もだ、ルーク」


愛し合う二人はもう一度、溢れている愛を共有し合った。






身体にある赤薔薇からは抑え切れない情熱の愛が








Fin








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うちのルクアシュは互いを好きすぎです。愛し合いすぎです。
寧ろ、狂愛!←








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