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ルクアシュ










薔薇の魔法で








今日泊まる予定だった宿に行く途中でアッシュに会った。
久しぶりの再会で感極まったルークはアッシュを散歩という名のデートに誘った。
それはもう、必死に。
最初は嫌がっていたアッシュだが、それは唯の照れ隠しであり、最終的には了承した。
内心はルークに会えて、嬉しさでいっぱいだったのだから。


「じゃあ、後はよろしくな!アッシュ、行こうぜ!」
「ひ、人前で手なんか、に、握るな…!!」


宿のことなど、全てを仲間達に任せてルークはアッシュの指に自分のそれを絡めて歩き出した。
まるでラブラブな恋人同士のように。
しかしそれがアッシュは気になって仕方なかった。
ルークが笑顔で話しかけてくれるのも嬉しかったが、繋いだ手から、指先から。
伝わってくる体温が、恥ずかしくて堪らない。
そして自分の鼓動の速さに比例して上昇していく体温がルークに伝わっていて、緊張してしまう。
だから、この手を離したい、離してほしい。
でもその気持ちとは裏腹に、体温を分かち合っているこの手と手が、嬉しくて、愛しくて。
ずっと繋いでいたい気持ちに陥る。
だから、離したくない、離さないで。
矛盾した想いが心を支配する。
すると、その時。


「おっ!アッシュ、見てみろよ」


ルークがいきなり立ち止まって、何かを差し出してきた。
それは、白い薔薇、だった。
しかもそれを見せるや否や、手に持っていた一輪だけを買っていた。
一体何がしたかったのかアッシュには理解できなかった。


「おい、レプリカ。花なんか買ってどうするんだよ」
「うーん……部屋に飾る?」
「なんで疑問形なんだよ…」


ルークの行動に益々意味がわからなくなって、自然と溜め息が出た。
しかし次の瞬間。


「だってこの白薔薇って、俺達見たいじゃん」
「は……?」
「白薔薇の花言葉は“相思相愛”だぜ?まさにラブラブな俺達そのものだろ?」


ルークの言葉に、行動に、全てに。
心がトキメいた、奪われた。
もう愛しい彼しか、視界に入らない、入ってこない。
瞳が、彼以外を映さないから。
脳が、彼以外を認識しないから。
アッシュは自然と白薔薇を持っているルークの手に自分のそれを重ねた。
すると、心に溢れた嬉しさ、愛しさなどの全てが、言葉となっていった。


「ルークの、言う通りだな」
「えっ…」
「白薔薇は、俺達だ」


その言葉に形を与えた瞬間、アッシュは今までにないくらい綺麗にほほ笑んだ。
勿論ルークはそれに見惚れ、アッシュ同様、心を奪われた。
互いに互いが心を捕らえた。
そして溢れ出した愛しい気持ちは、もう誰にも止められない。
二人はどちらからともなく距離を縮め、口付けを交わした。
その時、偶然にも重なり合った唇が白薔薇に重なった。
それはまるで白薔薇が二人の愛を、隠しつつ、象徴しているかのように―――






恋人達は純白な白薔薇で相思相愛に








Fin








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恋人繋ぎと乙女アッシュが書けただけで満足です!









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