ルクアシュ(双子)
白に映える、赤
秋が終わり、冬がやってくる。
外の気温は段々と人々から体温を奪ってしまうほど寒くなってきたから。
ルークは早くこの寒さから逃れたく、自分の家へと急いだ。
「ただいまー」
「おかえり」
自分の住むマンションに帰ると、そこにはルークの片割れであるアッシュがいた。
アッシュはルークの双子の兄であり、愛しい恋人でもある。
二人はこのマンションに同棲しているのだ。
毎日家に帰れば、迎えてくれるのは愛しい恋人だけ。
他には誰もいない。
二人を邪魔する者は、誰も。
そう考えただけで、幸せが込み上げてくる。
しかもアッシュは寒いのか、最近出したばかりの火燵に入って本を読んでいる。
とても可愛い。
でも、火燵に入りきれていない上半身は寒そうだった。
特に背中が。
そこでルークは何か思い付いたのか、ニヤリと笑い、アッシュに近付いた。
そして背中から思いきり抱きしめて、座った。
「アッシュー!」
「うわッ!?な、何しやがるんだ、屑が!は、離れろッ!」
「ひっでぇー。折角暖めてやろうとしてんのにぃ」
ルークからの突然の抱擁にアッシュは顔を真っ赤にしていた。
だから口から出ている言葉も単なる照れ隠し。
お腹の中から一緒だったルークにはそんなことなどわかりきっていた。
「ほ、本が読みずらいんだよ!」
「でもこっちの方が暖かいし、アッシュだって俺とくっつけて一石二鳥でしょ?」
「っ―――!し、知るかッ!」
ルークが耳元でそう囁けばアッシュは真っ赤だった顔を更に赤くし、今まで読んでいた本に視線を戻してしまった。
ルークは少しからかいすぎたかと思ったが、そんなことは直ぐに頭から綺麗に消えてしまった。
視界があるものを捕らえたから。
それはアッシュが前ん向いたことによって見えた、首。
いつもは髪に隠されている後ろ首も、今は髪が退かされ、露になっている。
真っ赤な髪に映える、真っ白な首。
それは一種の宝石のようにも見える。
その輝きには、一瞬で魅力される。
案の定ルークは魅力され、欲情が膨れ上がってきた。
そして、爆ぜた。
ルークはアッシュの首に舌を這わせた。
「ひゃぁ…!」
その瞬間、アッシュから小さい悲鳴が漏れたが、それは逆効果。
更にルークの欲情に火を点けてしまった。
ルークは舌で柔らかい肌を堪能し、今度は真っ白な首に唇を重ねる。
そして強く、吸い上げる。
脳髄まで、痺れるように。
「あぁっ!ぁ、るぅ、くっ…」
唇を離すと、そこには。
アッシュの髪色と同じ、真っ赤な花弁が咲いていた。
真っ白な首に、映えている。
ルークは満足げにそれを見て、もう一度花弁を舐め、口付けを落とした。
するとお決まりの罵声が。
「こ、こここの…屑やろうがぁあ!!な、何しやがんだぁあ!」
「えっ、何って…アッシュが俺のだって証を付けたんだよ?誰にも渡さない為に」
「それ、でも…こ、こんな見えるところに…!」
「見せ付けてやればいいんだよ。アッシュは俺の愛しい恋人だってね」
ルークはこちらを向いたアッシュに微笑みかけ、今度は真っ赤に熟れた唇に口付けた。
アッシュも内心、ルークの独占欲に愛しさを感じていた為、口付けに答えるよう、ルークの首に腕を回して自分から舌を絡めた。
深く、深く、一ミリの距離さえもなくなるように、激しく。
そのまま二人は、欲情の世界へ溶け込んでいった。
真っ白な雪の肌に咲く真っ赤な愛の花弁が、二人の欲情を煽ってゆく―――
真っ赤な独占欲は華となり、誇らしげに咲き乱れる
Fin
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元拍手御礼文。
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