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ルクアシュ










の浸蝕








久しぶりに自分のレプリカである、ルークに会った。
いや、会ったというよりも見た、と言った方が正しいのかもしれない。
向こうは自分になど気付いてはいないだろうから。
でも、あの一瞬だけでもこの瞳にルークの姿を写せただけで充分だった。
アッシュはルーク達がいる方向とは逆の方に歩みを進めた。
すると―――


「アッシュ!!」


いきなり後ろから自分の名前を呼ばれた。
勿論、誰かはわかっている。
アッシュが振り向くと、息を切らしているルークの姿が。
それだけで心が高鳴ってしまう自分は重症なのかもしれない。
でもその気持ちを素直に表に出せなく、いつも冷たい態度をとってしまう。


「屑が何の用だ…」


本当はこんなことが言いたいわけではないのに。
アッシュは素直になれない自分の性格を呪った。
自然と顔が俯いてしまう。
しかしそんなことなどルークはお見通しだった。
それがアッシュの照れ隠しだということを。
可愛い奴、と心の中で呟きながらルークはアッシュを抱き寄せた。
そしてアッシュを追ってきた当初の目的を、果たす。


「アッシュ、好きだよ。愛してる」


そう、アッシュの耳元で囁き、解放してやる。
そしてそのまま、真っ赤に熟れた唇に口付けを落とす。
それは男とは思えないくらい柔らかく、美味で、堪らなかった。


「じゃ、それだけ言いたかっただけだから…またな、アッシュ」


ルークはそのまま来た道を去っていってしまった。
取り残されたアッシュは一瞬、何が起きたのか理解できなかったが、自分のされたことを頭が理解した瞬間、近くの路地裏に座り込んでしまった。
しかしそれはルークも同じで、先程キスをした唇を押さえて誰もいない路地裏に座り込んでいた。
どちらも自分の唇に触れると、熱を持っていた。
それは身体ではなく、心が火傷する微熱。
二人の心はもう、お互いへの愛で、火傷寸前なのだ。






恋は微熱を広げ、愛は火傷を生じさせる






Fin







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我慢できずに書いてしまいました。
またもやマイナーなアッシュ受けが好きです!






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