ヒバラン:10年後 雲雀さんが珍しく俺のために休暇をとってくれた。 こんなことは滅多になくて俺は嬉しくて顔が自然と緩んでしまう。 「えへへ……」 今日はここ、並盛町でお祭りがある。 雲雀はランボと一緒に行くために休暇をとったのだ。 ボスである沢田綱吉を半ば脅して強引に承諾させた。 今は飛行機の中である。 本部があるイタリアから日本に向かっているのだ。 雲雀の隣に座っているランボはさっきから上機嫌だった。 ずっと笑っている。 「ねぇ…さっきからなに笑ってるの…?」 「えっ!?いや…そのぉ……」 ランボは少し戸惑ったが雲雀の質問から逃げられないことを知っているので、正直に話した。 「雲雀さんが俺なんかのために忙しいなか休暇を取ってくれたし…それに……」 「それに?」 「雲雀さんと久しぶりに一日中いられると思うと嬉しくて…」 ランボは男とは思えないほど可愛らしい笑顔を雲雀に向けてそう言った。 雲雀はランボの純粋な気持ちに恥ずかしくなったのか、手に持っていた本を読み出した。 君との大切な時間 あれから何時間か経って日本に着いた。 そこからタクシーを使って並盛にある雲雀の家まで行った。 イタリアは夜だったが時差の関係で日本は夕方だった。 祭りはもう始まっているらしく家族連れや浴衣を着た人達が大勢歩いていた。 「雲雀さん、お祭り楽しみですね♪」 「そうだね」 ランボは嬉しそうに雲雀に話しかけてきた。 ふと、雲雀はあることを思い出した。 そして鞄から一つの袋を取り出した。 「雲雀さん、それなんですか?」 不思議そうに雲雀の持つ袋を眺めた。 「ランボ、これ着てお祭りに行くから。今すぐ着替えてきて」 そう言うと雲雀はランボに袋を渡した。 わけがわからずランボは袋を開けて中身を確認した。 袋に入っていたのは浴衣だった。 しかも女物の。 「……雲雀さん…これ……」 「見てわかるでしょ、浴衣だよ」 そんなのは見れば誰だってわかる。 それが問題なのではない。 確かに雲雀から浴衣を貰えてとても嬉しい。 しかし貰った浴衣は女物。 白の生地に薄いピンクの桜模様が入っている可愛らしい浴衣だ。 男のランボにこれを着ろと言うことが問題なのだ。 「それはわかりますけど……この浴衣…女の子のなんですけど……」 「それがどうしたの。まさか僕が選んだ浴衣が着れないっていうの……」 雲雀はトンファーをかまえてランボに近づいてきた。 「そ、そそそそ、そんなことありません!!!!き、着ます!!だから雲雀さん落ち着いて下さい!!」 「初めからそう言えばいいんだよ。じゃあ僕も着替えてくるから」 そう言うとトンファーをしまい、隣の部屋へ行ってしまった。 一人取り残されたランボは渋々着替えを始めた。 「ランボ、できた?」 雲雀はランボが着替えている部屋をノックもなしに開けた。 そして固まってしまった。 そこには雲雀に渡された浴衣を着ているランボがいた。 恥ずかしいのか少し頬が赤かった。 「ひ、雲雀さん…?ど、どうですか…?」 「…………………」 返事が返ってこない。 ランボは不思議に思い、もう一度尋ねた。 「雲雀さん?やっぱり似合ってないですよね……」 「え……」 その逆だった。 似合いすぎていて雲雀は見惚れてしまっていたのだ。 我に返った雲雀は俯いてしまったランボの頭にそっと撫でた。 優しい手の感触にランボは顔を上げた。 「そんなことないよ。とっても似合ってるよ」 雲雀は優しく笑ってランボを見つめた。 その言葉と微笑みにランボは赤面してしまい、また俯いてしまった。 「そうだ。ランボ、ちょっとそのままジッとしてて」 「え?あ、はい!」 雲雀の言う通りジッとしていたら頭に何か触れた。 「はい、もういいよ。顔上げて」 ランボの髪にはこれまた可愛らしい浴衣と同じ桜のかんざしが付いていた。 「うん、似合ってる」 「あ、ありがとうございます……」 「じゃあ行こうか」 雲雀はランボの手を取り、祭りに向かった。 祭りは大勢の人で賑わっていた。 たくさんの屋台もでていてランボは目を輝かせていた。 「雲雀さん!!雲雀さん!!早く行きましょう!!」 子供のようにはしゃぐランボを見て連れて来て良かったと雲雀は思った。 「ランボ、ちょっとはしゃぎすぎ。はぐれたらいけないから手かして」 雲雀はランボの手を握った。 握ったというよりも繋いだといった方が正しい。 それは誰が見ても恋人同士にしか見えなかった。 普段あまりされないことにランボは少し緊張して頬が赤くなったが内心、嬉しさでいっぱいだった。 「なんだか今日の雲雀さん優しいです…」 「そう?いつもと変わらないよ」 「そうですね。雲雀さんはいつも優しいですもんね」 隣で嬉しそうに笑っているランボを見て不覚にも可愛いと思ってしまった。 大分暗くなってきたが人の多さは変わらない。 もうすぐ花火が始まるからだ。 「もうすぐ花火ですね。でもここからじゃよく見えませんね……」 「ランボ、ちょっとついて来て」 「え!?雲雀さん!?」 雲雀はランボを引っ張って人込みのない林の中へ入っていった。 しばらくすると大きな木の前に出た。 そこは神社の裏手だろうと思われる場所だった。 そこからは綺麗な星空が見えた。 すると星空に一輪の大きな花が咲いた。 「わぁ……綺麗…」 ランボは見とれてしまった。 「どう?ここなら誰にも邪魔されずに花火が見れるよ」 「雲雀さん……ありがとうございます!!」 「御礼ならこっちの方がいいな…」 そう言うと雲雀は自分の唇をランボの唇に重ね、舌を絡ませた。 お互いの舌が絡む、クチュクチュという音が聞こえてきた。 久しぶりの感覚にランボはうっとりしてしまった。 唇が離れる時、二人の間に銀色の糸が引いていた。 するとそのまま雲雀の舌が首筋を舐め、片手で帯を解き始めた。 「ひ、雲雀さん!?こんなとこで…んっ…」 抗議の声を発しようとしたが鎖骨を甘噛みされた瞬間、ランボの身体がピクッと小さく反応した。 「大丈夫だよ。ここには誰も来ないから」 「そういう問題じゃ…あっ」 脱がされた浴衣から胸の突起を指で摘まれてランボは甘い声を洩らした。 雲雀はそのまま空いている方の手で下着の上からランボ自身を握った。 「やぁあ!!りょう…ほうは、あぁっ…ひ、ばり…さんっ」 「ランボ、ちゃんと穿いてくれたんだね。これ」 「やっ、見ちゃ…だめぇ…」 ランボが穿いているのは女物の下着だった。 浴衣と一緒にあったので仕方なく穿いたのだ。 まさか見られるとは思ってもいなかったから。 「もうキツそうだね。ちゃんと触ってほしい?」 「あぁ…さ、わってぇ…あぁんっ」 雲雀は下着を勢いよくおろした。 ランボ自身は先走りで濡れていた。 それを雲雀は握ると上下に扱いた。 「ひゃあ!!あぁ、んっ、ぁああ!!」 ランボの身体がビクビクッと震えた。 もう身体に力が入らず、大きな木に身体を預けていた。 「あぁん…もっ、む、りぃ…ぁあああ!!!!」 雲雀が手の動きを早くした瞬間、ランボは勢いよく精を吐き出した。 雲雀はその指をランボの秘孔に入れた。 先走りが秘孔まで濡らしていて、すんなりと雲雀の指を飲み込んだ。 「あぁ、ひ、ばり…さん、あぁっ」 内壁を擦ってやるとランボの中は雲雀の指に絡み付いてきた。 中を解すように指を抜き挿しした。 「ランボ、もう僕が欲しい…?」 「あっ、もう…ひばり、さん…が、あぁ…ほしいっ」 その言葉を聞いて雲雀はランボの中から指を抜き、雲雀自身を中へいれた。 「ひゃああ!!!!あっ、ひ、ばり、さん…!!」 「ランボ…」 ランボの口内に舌を入れて、お互いを求め合った。 唇が離れた瞬間、雲雀は律動を開始した。 「あぁあ!!んあっ、あぁ、あぁん!!」 ランボの口からは嬌声が止まらなかった。 雲雀はランボの前立腺を攻めた。 グチュグチュという卑猥な音がランボの耳までも犯した。 「ぁああ!!ひば、り、さん…あっ、もっ…」 「いいよ。一緒にイこう…」 律動が激しくなり、二人は同時に達した。 あれから二人で花火を見て、今帰宅路についている。 もちろんあの後腰がたたなくなり、ランボは雲雀にお姫様抱っこをしてもらっている。 恥ずかしさのあまりランボは雲雀と目を合わせようとしなかった。 「雲雀さんのせいですよ……」 「何が?」 全然悪びれてる様子もなく、平然と歩いていた。 「僕が悪いんじゃないよ。ランボが悪いんだよ」 「なんでですか……」 雲雀は笑みを浮かべて。 「ランボが可愛すぎるから」 と、ランボの耳元で囁いた。 それにランボの顔は真っ赤になって何も言い返せなかった。 可愛い僕の恋人。 君とならどこへだって行けるよ。 君と過ごす時間が僕にとっては宝物だから。 Fin |