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後編


あのあとユーリはスマイルにボコボコにされたうえに、説教までくらってしまった。
そのため、アッシュに謝る機会は全くなく、今の今まで一回もアッシュに会えていなかった。


―――スマイルめ……後で覚えておれ…!


元はといえば自分が悪いのだが、ユーリはスマイルに全責任を負わせている。
しかしそんなことをしてもなんの解決にもならない。
ユーリがアッシュに謝らなければ、この騒動は終わらないのだ。
ユーリも早くアッシュと仲直りがしたく、謝ろうと彼の部屋まで来ているのだが、中々ノックができない。
ノックをしようとする度に先程のアッシュの涙を思い出し、手が止まってしまう。


―――もし、このままアッシュが私を許してくれなかったら……


もう何分、アッシュの部屋の前にいるのだろう。
時間が経つに連れて、ユーリの考えはどんどん悪い方向へいくばかり。
しかし、そんな時。
いきなりアッシュの部屋のドアが開いた。
そして中から出てきたのは勿論、アッシュ本人。
ユーリもアッシュもこれには驚きが隠せず、互いに一瞬、固まってしまった。
しかしユーリがアッシュの腫れた目元を見たことによって、二人共我に返った。
そしてユーリはアッシュの目元に優しく触れた。


「すまない……」
「えっ、あっ!い、いいッス…!ユーリが謝ることないッスよ…!お、俺が…お節介、なだけ―――」


アッシュの言葉は最後まで続かなかった。
何故ならユーリが堪らずアッシュを抱きしめたからだ。
しかしそれは今のアッシュを見ていたら誰でもそうしていただろう。

傷付いたのは自分自身なのに、無理矢理笑顔を作ってくれる。
傷付けた本人を責めず、傷付けられた自分を責める。

そんな健気なアッシュを抱きしめられずにいられようか。
ユーリにはそんなこと無理に決まっている。


「アッシュ、すまなかった…アッシュはないも悪くないんだ……」
「ホ、ント…?ユー、リ…怒って、ないッスか…?嫌い、に…なって、ないッスか…?」


アッシュはユーリの背中に腕を回し、彼の服を思い切り握った。
それはまるで捨てられないように縋り付いているようにも見える。
アッシュの瞳からは枯れたと思っていた涙がまた、溢れ出してきていた。
ユーリはそれを見て、最初よりも強い力で震えるアッシュの身体を抱きしめた。


「私がお前を嫌うはずないだろ……アッシュだけを愛している…」
「ユー、リィ……!」
「アッシュは……私のこと、嫌いになったか…?」
「なって、ない…!なるはずないッス!俺の、一番は、ユーリだけッス…!」
「アッシュ…!」


アッシュが涙を流しながらも顔を上げてユーリに微笑んだ。
それは先程の辛い笑顔ではなく、心からの笑顔だった。
ユーリはそれを見た瞬間、堪らなく幸せな気持ちになり、アッシュに口付けた。
それだけで空っぽだった心が満たされていく。
幸せ、という素敵な想いで。


「アッシュ、ありがとう…」


そう言ってユーリはアッシュの少し長い前髪を掻き上げ、額にまた口付けを落とした。
その瞬間、アッシュが今日の中で一番幸せそうな、見惚れる程の笑顔を浮かべた。





乙女心を傷付けれるのは、恋人の貴方だけ。
でも傷付いた乙女心を治せるのも、恋人の貴方だけ。
傷付けた分以上、恋い焦がれて、愛を囁いて。
いつだって乙女心を支配しているのは、愛しい貴方だけなのだから―――








Fin






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後編ではユーリさんに至福の時を!
『ヴィジュアル3』のHができた自分にも至福を!←
やっぱりユリアはラブラブが1番だね!
ユーリさんがヘタレっぽいのは無視して下さい!←





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