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前編


心はいつだって傷付きやすいもの。
乙女心なんて尚更。
だから心の扱いは、丁寧に、優しく――――








心はデリケート








ユーリの古城ではアッシュが朝からせっせと家事を熟していた。
朝食を作るのは勿論、掃除から洗濯まで全てアッシュ一人でやったのだ。
そのため、今はもう太陽が空高く昇っており、お昼だということを示していた。
アッシュは流石に起きてもらおうと、古城の主であるユーリを起こしに行った。


「ユーリィー、入るッスよー」


ドアをノックしたが、返事がないのはわかっていた為、アッシュはそのまま中に入り、ベットに近付いて行った。
そしてユーリの身体を揺すりながら起こしにかかった。


「ユーリ!起きるッス!」
「んぅー……」
「もうお昼ッスよ!いつまで寝てるつもりッスか!」
「うる、さい……」
「煩くないッス!こうでもしないとユーリ起きな」
「喧しい!!」


アッシュが一生懸命起こしていると、突然ユーリが叫んだ。
しかも凄い剣幕でベットから起き上がり、寝起きのせいか、かなり怒っている。
アッシュはユーリの突然の態度に驚いて固まってしまった。


「私は太陽の光が苦手なんだ!!昼間などに起きれるか!」
「で、でも……起きないと、ユ、ユーリの身体が……」
「吸血鬼はお前達と違って寿命が長いんだ!とやかく言われる筋合いはない!!」
「――っ!」
「わかったらさっさと出てい――」


ユーリの言葉は途中で途切れた。
何故ならアッシュが真っ赤な瞳から大粒の涙を流していたからだ。
それを見たユーリは、今になって自分がどれだけアッシュに酷い事を言ったか気付いた。
直ぐさま謝ろうとしたが、それよりアッシュが身を翻して、部屋を出ていく方が早かった。


「ご、ごめんなさいッス…!」
「ア、アッシュ!待て!」


アッシュはユーリの呼びかけに応えず、勢いよく部屋を飛び出していってしまった。
しかも運が悪いことに、廊下に飛び出た瞬間、スマイルがそこにおり、アッシュの泣き顔はバッチリ見られてしまっていたのだ。
しかしユーリはそんなこと露知らず、アッシュを追いかけようと部屋を出てしまった。
案の定、怒り心頭のスマイルと出くわしたのだが。


「スマイル!アッシュを見なかったか!?」
「見たよ〜。あっちに走ってった〜」


そう言ってスマイルは自分の後ろの廊下を指差した。
ユーリはスマイルに礼を言って走り去ろうとしたが、無理だった。
スマイルがユーリの前に立ち塞がったのだから。


「何の真似だ、スマイル…直ぐさまそこを退け!」
「嫌だよ〜。だってアッシュ君、泣いてたんだも〜ん」
「だから…!!」


ユーリがスマイルに突っ掛かろうとした瞬間、今まで俯いていたスマイルの頭が上がった。
そこには満面の笑みがあった。
目が笑っていない、とてつもなく冷たい笑顔だが。


「ス、スマイル…?」
「僕のアッシュ君を泣かすなんていい度胸してるね、ユーリ」
「ア、アッシュは…わ、私のだ…!」


ユーリの口調は強気だが、明らかに逃げ腰だった。
スマイルが一歩近付けば、ユーリが一歩後ろに下がっている。


「許さないからね〜」
「ま、待て!落ち着くんだ…!」
「問答無用!ギャンブラーZで成敗してくるわぁあ!!」
「ぎゃあああ!!」


この後、ユーリはスマイルに打ちのめされたとか。




前編Fin








**************
またもやポップン!
これはユーリさんの曲『ヴィジュアル3』のHができなかったうざばらしに書いたものです←
あの時はホントにムカついてしまったので…;;
でも流石にこれで終わるのは管理人の趣味として良くないので、後編もupします!








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