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Kサト


昼間の晴天が嘘のように、夜空はどんよりとした雨雲に覆われていた。
そのせいで月の光すら地上には届かず、辺り一面、暗闇に包まれている。
そんな中、一つの足音が聞こえた。


「はぁ…はぁ…」


誰からか逃げているのか、その足音の歩調はやたら速かった。
しかし不思議なことに、追っているはずの足音は聞こえない。
すると、いきなり逃げている人物の前に、人が現れた。


「こんばんは」
「ひっ…!!」
「そして、さようなら」


現れた男、Mr.KKは持っていた拳銃を逃げていた男に突き付けると、容赦なく引き金を引いた。


―――バンッ


真夜中の住宅街に銃声が響いた。
そして同時に、空から大粒の雨が降り出した。
雨はMr.KKに飛び散った血や、死体から出た夥しい血まで洗い流していた。
しかし一つだけ、決して洗い流せないものがあった。
Mr.KKは素早くその場から立ち去り、ある場所へ向かった。
雨には洗い流せないものを消してくれる、愛しい人のもとへ―――







に響く言の葉








Mr.KKは裏社会では有名な殺し屋だ。
普段は清掃員やらに化けて暮らしているが、殺しの腕前は誰にも負けないだろう。
そんなMr.KKが雨の中、傘もささず、たどり着いたのが一軒の高層マンションにある一部屋。
玄関の鍵はその部屋の主から合い鍵を貰っており、すんなりと入ることができた。
そしてそのまま床が濡れるのも気にしないでズカズカと中へ入っていった。
今のMr.KKには愛しい人、サトウのことしか頭になかった。


「サトウ……」


Mr.KKが呟いた人物は何故かソファーで寝ていた。
その傍にはサトウの飼っている猫、ししゃももいた。
Mr.KKはソファーの前にしゃがみ、サトウの寝顔を見つめた。
会社員にしては幼く、綺麗なサトウの寝顔は、Mr.KKの冷え切った心を徐々に溶かし始めていた。
そして同時に、もっとサトウに触れたい、という欲望も沸き上がってきた。
Mr.KKは我慢できず、雨に濡れて冷たい手を頬にそっ、と添え、自分の唇をサトウのそれに重ねた。


「んっ……」


触れたのは一瞬だったが、重ねた唇からはサトウの可愛らしい声と、温もりが伝わってきた。
もう一度サトウの唇を味わおうとした時、サトウの睫毛が震え、閉じられていた瞼から、大きな瞳が現れた。
しかしまだ眠いのか、瞳はトロン、としいる。


「サ、トウ……」
「んっ……けぇ、けぇ…?」


サトウの瞳がMr.KKを写した瞬間、花の綻ぶような眩しい笑顔を浮かべた。
そしてゆっくり、サトウの唇から言葉が紡ぎ出された。


「おかえり……なさい」
「―――っ!!」


その言葉とあの笑顔にMr.KKは動けなくなった。
しかし身体とは裏腹に、心は徐々に温もりが広がりだし、さっきまでの冷え切ったものが消えていた。
サトウはまた眠りに着いてしまったのか、可愛らしい寝息を立てていた。


「ありがとな……」


Mr.KKはソファーで寝ているサトウを横抱きにし、寝室まで運んでいった。
ベットに降ろす際に、額と両頬、そしてもう一度唇に口付けを落とした。
愛しい、という想いを込めて。


「サトウ…好きだ…愛してる……」


それだけ言うとMr.KKはサトウの隣に横になり、その華奢な身体を思い切り抱きしめた。
そして暖かい温もりを胸に、彼もまた眠りに着いた―――





雨は全てを洗い流してくれる。
でもそれは外見だけ。
人には見えない内面は、心は決して綺麗にはならない。
でも、愛しい貴方は、違う。
貴方のくれる、さりげない言葉が、心を綺麗に洗い流して温めてくれる。
だから、これからも貴方だけを愛し続けていきます―――






Fin








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初のKサト!
口調さっぱりわからんが、萌えと愛だけは詰め込みました!←
サトウさんはやっぱり可愛いなぁ…!
いつもはKKさんって呼ぶけど、眠たい時や情事の時だけはKKって呼び捨てがいいよね!←
萌えだッvV






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