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ユリア


彦星と織り姫は星達に誓った。
一年に一度。
七月七日の七夕だけに会うことを。
それは星達によって今も尚、受け継がれていっている。
今宵も星達が彦星と織り姫を引き合わせる―――








屑memory









今日は彦星と織り姫が年に一度だけ会える日。
夜空には満開の星空。
そこには無数の星達が作り出した天の川も。
まるで夜空が二人を祝福しているような輝きを放っていた。


「うわぁ…!凄いッス…」


丘の上からその輝きを見て、感嘆の声を漏らしたのは、人狼のアッシュ。
長い前髪の隙間から見える真紅の瞳は、あの星達のように輝いていた。
そんなアッシュの隣にユーリはいた。
ユーリは吸血鬼の為、夜だろうと外に出ることは滅多にないのだが、恋人のアッシュが「星を見に行こう」と誘ってきたのだから、断れるわけがない。
アッシュの喜ぶことは何だってしてあげたいのだ。
しかし星など見ても楽しくはない。
だからさっきからユーリが見ていたのは満開の星空ではなく、恋人のアッシュ。
ずっと見ていても飽きないのだ。
しかしユーリはあることを考えていた。


―――こやつ、アッシュをもっと喜ばせる方法はないか…?


アッシュにはいつも笑っていてほしい。
そのために星空に負けないくらい、自分でアッシュを喜ばせてやりたい。
自分にしか、ユーリにしかできないこと。
それは―――


「アッシュ」
「ほぇ?何スか……って、えぇ!?ユ、ユーリ!?」


ユーリはいきなりアッシュを横抱き、所謂お姫様抱きした。
そして自分にだけある、真紅の羽でそのまま夜空へ飛び立った。

遠くにあった星空に近付いていく。

アッシュは突然のことに赤面して俯いていたが、今まで手を伸ばしても凄く遠くにあった星空が、今はとても近くにある。
本当に手を伸ばせば掴める気がするくらい。


「アッシュ、どうだ?」
「す、凄い綺麗ッス!俺、こんな綺麗な星空見たの初めてッス!」
「そうか。嬉しいか?」
「はい!とっても嬉しいッス!」


アッシュは星空に負けないくらい綺麗な笑顔でユーリの質問に答えた。
その笑顔は少し星空の力を借りてしまったが、まさしく自分が生み出したもの。
それが何だかとても嬉しく、幸せを感じた。
アッシュに会う前はそんな感情すら知らなかったから。
もう、誰にも渡せない、大切な存在。
だから無数の星達に、誓う。


「アッシュ…好きだ。愛しているぞ…」
「ユーリ……俺も大好きッス…!」


そう言い、二人は自然と唇を重ねた。

その笑顔がいつまでも続くように。
その笑顔がいつまでも自分だけに向くように。
愛する貴方を誰よりも、何よりも、護りぬいていく。

天の川を背に口付ける二人はまるで彦星と織り姫のようだった。




彦星と織り姫は一年に一度しか会えない。
しかしそのことは星達が覚えていてくれる。
だから星達への誓いは、必ず叶えられる。
何年も、何十年も、何百年も。
勿論、愛する君と、愛する貴方と永遠に誓った愛も―――






Fin




***************
一日遅れだけど七夕ネタ!
遂に書いてしまった、POP'N!
しかもまたもやマイナーらしいアッシュ受け…;;
いいんだ!
私は私の道を突っ走るから!←
でも、誰かPOP'N話せる人いたらいいな…!







あきゅろす。
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