short 最期の言葉 「バクラ−」 「あ?…んだよ、神田じゃねぇか」 「な−んか残念そうだねぇ? 誰だと思ったの?」 「…うるせぇ」 「ふふ、」 「…んだよ」 「ん−?意外と可愛いところあるんだなって思って」 「…は?俺様が可愛い?お前頭大丈夫か?」 「え−ひどいな−。」 くだらないやりとりだけど、凄く楽しかった。 少しだけバクラに近付けた気がした。 獏良くんに似た容姿の彼は、もちろん女性にモテる。まあ、いつも眉間にシワを寄せてこわ−い顔してるから、みんな遠巻きに見つめてるだけなんだけど。 だからかな?こうして彼と話せるだけで、わたしはあの子達とは違うって優越感に浸れた。 …例え、それが彼の恋愛の話だとしても。 彼が見つめてる相手は違うとしても。 わたしは、幸せなんだ。 一瞬でも彼の目にわたしが映って 一瞬でも彼がわたしを考えてくれてる。 これ以上の幸せなんて望んだらバチが当たるわ。 ただね、ひとつだけわがまま言えるなら ずっと彼の傍に居たかった。彼を見ていたかった。 けど、それももう叶わない。 だってわたしは、もうすぐ死んでしまう 悔いのないよう生きてきたつもりだし、幸せな人生だったとも思う。 だけど、どうしてかな? 涙が止まらない。怖いよ、怖い。 最後はあなたに傍に居て欲しいけど 今頃あなたはあの子に思いを告げている。 この日がいいってあなたに言ったのは、他でもない私。 自分で自分の首を絞めたのかしら 滑稽ね、なんて他人事みたいに思った。 (届く筈もない最後の言葉、)(私が発した数少ない言葉の中で、一番私らしかった) ……だいすき、バクラ [*前へ][次へ#] |