[携帯モード] [URL送信]

short
始まり


「……」
獏良くんがじ−っと私を見ている。
話しかけるチャンス、かもしれない。

「え−と、獏良くん?」
「うん、覚えててくれたんだ」
「あ、うん。同じクラス…だし」


我ながら可愛げないとは思うけど、
気になってたしなんて口が裂けても言えないのだから仕方ない。

「嬉しいなあ。
美鈴ちゃんに名前覚えてて貰えるなんて」

笑顔でそんなこと言うなんて、反則だよ。
獏良くんはそんな気ないんだろうけど
私、期待しちゃうよ…?


何か言おうとしたけど、
獏良くんに引かれたらと思うと
何も言えなくなってしまう。
勘違い女なんて評価受けたら、
きっと私は倒れてしまうだろうから。

獏良くんが何か言ってくれないかな。
という願いも叶わず、ただ沈黙だけが流れた。
……どうしよう、すごく気まずい

「あの、獏良くん?」
「ん、なに?」
「遊戯くん達あっちに居るよ」
「うん」
「あれ、わかってるんだ。
あっち行かないの?」
「…え、なんで」
「なんでってここ居ても楽しくないでしょ。
私たちあんまり仲良くないし」

突然目の前が真っ暗になって、
目を開ければ彼のどアップ。


「へへ、奪っちゃった♪」
悪戯な笑みを浮かべて彼は去っていった。




(ファーストキス、だったのに)(でもキスから始まる恋もいいかも、なんてね)

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!