二人で、一本 学ぱろ 「あ」 「ん?どーした?」 「あの子」 「んー?…あ、こけた」 「泣いちゃったね」 「しかも、水たまりにダイブしたぞ。平気か?」 「……あ、でも、友達がいるみたい」 「………」 「………」 「そういえば、俺たちにも、あーいう、可愛い時ってあったよな」 「グリーンって可愛かったけ?」 「おい。俺はなぁ、ご近所の奥さまたちから、天使のように可愛らしいってそれはそれは評判がよかったんだぞ!」 「あの子の傘、かわいい。レインコートもかわいい」 「無視か!」 「なつかしいなぁ」 「そういえば、レッド、ああいうの好きだったもんな。ピカチュウの傘が壊れたときは、ひどかった…」 「………今、思い出しても泣ける……」 「泣くな!」 「泣いてないよ?」 「………」 「たしか、ぼくが転んで、壊れちゃったんだっけ、傘」 「そうそう。で、新しいの買ってもらっても、ちがうーって言って泣いて」 「………よく覚えてるね」 「記憶力がいいもので」 「………」 「ま、今はこんなビニール傘で満足してるみたいだけど」 「さすがに、ね」 「ほら、あんまり離れると濡れるぞ」 「ん」 二人で、一本 しとしと雨の中、一緒に帰ろう [*前へ][次へ#] |