メルト 空は青い。 特に今の季節、暑い夏の日の空は、どこまでも澄んでいて、眩しくて、そして、高い。 日本という気候のせいで、そんな爽やかな空だとしても、空気は水分を含んでいて、じっとりと、肌にまとわりつく。 しかし、そんな、暑さとも湿気とも隔離された、逆にひんやりとした空気の中にいるスザクとルルーシュは、設定温度二十三度の快適温度の中で、ぽたりと、汗を流した。 正確に言うと、ルルーシュ一人が、焦っていた。 「おい、スザク。今なら話を聞いてやる。だから今すぐこの手を放せ」 「別に話すだけならこのままでも平気でしょ?」 にっこり。 笑みを浮かべるスザクと、鋭い視線で睨むルルーシュ。 話しても一向に進まない会話に、ルルーシュはじれったくなったのか、じたばたともがく。 けれども、いくらもがいても、スザクの手はルルーシュの手首を押えたまま放さない。 ルルーシュもいつまでたっても、白いシーツに埋もれたまま。 学園の中でも、エアコンが設置された部屋、誰もいない、保健室。 まだ授業中にも関わらず、その、だれもいない、保健室のベッドで、二人は話していた。 話すといっても、ルルーシュがスザクにベッドに押し倒された状態だったけれども。 そして、もがくルルーシュを視界に入れて、スザクは、ちゅ、と、ルルーシュの白い腕に、口付ける。 いつもは黒い冬服に隠されている腕も、今の季節、制服も夏服に変わり、半袖の白いシャツ一枚だ。 ジャケットを着るはずもなく、かわりに、女子がつけているものよりも少し長めのネクタイを、つける。 じんわりと汗をかいているのか、少しだけ透けてルルーシュの肌にぴたりとくっつくシャツに、スザクは、くすりと笑った。 「ね、いいでしょ?鍵も閉めたし、今は授業中だからだれもこないよ」 「そういう問題じゃなくて…!」 「ほら、そんなに文句ばっかり言ってると…意地悪したくなっちゃう」 くすくすと笑みを零しながら、スザクは会話を続け、その間に、押さえていたルルーシュの腕を頭上で纏め上げながら、あいた片手で自分のネクタイの結び目をほどく。 そしてそのまま、しゅる、と、音をたてて取ると、纏め上げていたルルーシュの腕を、それで拘束した。 そのことに、ルルーシュが驚いたように、スザクを見る。 そんなルルーシュに、スザクは、歳のわりに幼い顔で、さらに幼く見えるような笑みを、浮かべた。 「な、なにして…!スザク、いいかげんにしろ!!」 「やぁーだ。ルルーシュもこういうの、好き、でしょ?」 「はぁ!?」 「だって、ほら、ちょっとドキドキしてる」 スザクは、自由になった右手で、ルルーシュの左胸に手をあてる。 そして、そのままルルーシュのシャツのボタンを上から外していき、ちゅ、と、胸にも口付けた。 と、ルルーシュの肩が、ぴくんと、跳ねる。 その様子に、スザクは、満足そうに、笑った。 そのまま、ちろり、と、舐めると、少し上から、上ずった声が聞こえる。 「ほら、やっぱり好きなんでしょ?気持ちいいんだよね?」 「…っ、そんなこと、ない…!!」 (ルルーシュってたまに、すごく、ばかだよなぁ) 胸元に紅い痕を残しながら、スザクは、ぼんやりと考える。 あぁ、だから、自分はさっきも言ったのに。 (文句言われると、いじめたくなる) どこか汗ばんだ、ひんやりとするルルーシュの肌をまさぐっていた手を、今度は未だつけられたルルーシュのネクタイにかける。 そして、慣れた手つきではずすと、そのまま、そのネクタイで、ルルーシュの視界を、覆った。 「…っ!?い、いや、だ、スザク…!!」 「大丈夫だよ、むしろ…見えなくて、もっと感じちゃうかも」 「やだ、いやだ…っ、あ…!」 「ほら、ルルーシュ、見えない分、僕を感じて?」 きゅ、と、頭の後ろでネクタイを結んで、視界を奪う。 そのまま、耳元で囁いてやると、頬が赤くなったのがわかった。 そして、手を、ゆっくりと、下におろす。 布越しに、やんわりと、触れる。 それでも一生懸命に声を漏らさないようにとする姿に、つい、臍のあたりにキスを落とす。 あぁ、なんて可愛いのだろう。 そんな姿をちらりと確認して、チャックを口で咥え、じじ、と、おろしていく。 すると現われる黒のビキニに、相変わらずだな、と、心の中で苦笑し、そのまま制服とともにはぎとってしまう。 空気が触れたことで、下肢になにもまとっていないことがわかったのか、ルルーシュは、なにか言おうとし、けれどもそんな暇を与えず、スザクは、ぱくりと、あらわれたそれを、口の中に含む。 「…ん…、んぅ…」 「ひ、あ…!やだ、…あっ…!!」 口に含んで、ちゅう、と、吸ってやる。 そうすると、ぽたりぽたりと、先端から白い蜜が零れて。 いつもより、なんとなく多いその量に、やっぱりいいんじゃないかと、スザクは一人考え、かり、と、先端に歯をたてる。 「ああぁっ!…あ、…ふぁ…すざ、く…!!」 「ね、ルルーシュ、気持ちいいんでしょ?わかる?僕がなにしてるか」 「いや、だぁ!言うな!」 「僕、まだ何も言ってないよ?なのに…こんなにして。ルルーシュのえっち」 くすくすと笑いながら、片手でいじってやって、耳元で囁いてやる。 視界を奪っているネクタイに、じんわりと染みができている。拘束しているネクタイが、手首に赤い痕をつける。 そんな姿を見て、スザクは、ルルーシュの唇と、自分の唇を、重ねた。 「暑いからいけないんだよ、ルルーシュ」 チャイムは、まだ、鳴らない。 あつくて、とけてしまいそう。 なら、僕と一緒に、どろどろに、とけてしまえばいい。 [*前へ][次へ#] |