魔王様と下僕 もくもくと立ち込める白い煙。 床には描かれた魔法陣。 そして、そこには 私立アッシュフォード魔法学園。 そこに僕、枢木スザクは五年生として通っている。 五年生になると、法律でも自分の召喚獣を所持することが許可されていて、そしてここ、アッシュフォードではその召喚の儀を成功させることが、六年生へ進級する為の絶対条件、だった。 そして今日はその儀式の日。 みんな、僕よりも早い番号だったのですでに儀式を行い、結果、見事に合格。 あぁ、ドキドキするな。 でも、これは普通に授業を受けていれば誰でも成功するもの。 そう先生も言っていたし。 そう考えているうちに僕の順番になって、そして、 「え、と、君、は・・・?」 「お前が呼んだんだろう」 そこにいたのは、さらさらの黒髪に、菫の瞳を持つ、僕と同い年くらいの男の子だった。全身は、高そうな漆黒のマントで隠されている。 「よ、呼んだって、僕が、君を?!」 「そうだ、だから、わざわざ来てやったんだが何か文句でも?」 「いえなにもありません」 直感的に、彼には逆らったらいけない気がした(別にその瞳に睨まれたからというわけでない) でも、彼が自分で言った通り、僕は彼を召喚したのであって、契約を交さなくてはいけない。 だから、 「えっと、僕と契約、してくれるのかな?」 「もちろんだ。そのためおれはわざわざ、来たのだからな、枢木スザク」 「え、なんで僕のなま・・・んんっ?!」 契約の儀とは、約束を交すこと。 口付けを、交すこと。 だからと言って、何も口に、と言うわけではない。 大抵は、召喚獣を服従させる、という意味を兼ねて、手の甲に落とさせる。 が、しかし。 彼は、いきなり僕の制服の襟をつかみ、口付けてきた。しかもいわゆる大人のキス(僕の初めてが!なんてことだ!!) そして、その透き通った菫の瞳を細め、にやりと笑うと、こう告げたんだ。 「我が名は、ルルーシュ。魔界を支配する者、納める者、お前たち人間が呼ぶ、魔王だ」 [*前へ][次へ#] |