朝と夜に繋ぐ
ふぁ、と、欠伸をもらす。
ちらりと視線をずらしてテレビを見ても、そこにまったくもって自分には興味のない番組がうつる。
そこでもう一度欠伸をもらし、ルルーシュは、ぱふんとソファーに倒れた。
時刻は午前三時。
吸血鬼の自分は、まさに今、この時間が活動時間なのだけれども、スザクから家を出ることを許されていないし(以前、それを無視して遊びに行ったら扉に鍵がかかってた)、だからといって、この時簡にやっている番組はつまらない。
残念なことにこの家にはペットもいなく、ルルーシュは絶賛暇をもてあましていた。
ちなみに唯一の話相手のスザクは、現在進行形で睡眠中だ。
ソファーから手を伸ばして目的のものを探す。
ぷらぷらと空中をきり、ぺたぺたと床を探る。
そうして、こつんと指先にあたったもの。
それを引き寄せて。
「……なんでおれがこんなこと」
文句を言いながら、引き寄せたそれ、料理の本を開く。
そこに書かれているのは、ルルーシュにとってはあまり身近ではない、和食。
掃除洗濯料理を担当するルルーシュにスザクが買ってきたものだった。
ぱらぱらとめくって、あるページでルルーシュは手を止める。
そしてそのページをじっと見始めた。
「鯖の煮付け…確か冷蔵庫に魚があったな…鯖ではないが、まぁスザクなら問題ないか」
ふむふむなるほどなー。
ルルーシュはそのページをたんたんと読む。
暇で暇でしょうがないルルーシュの日課は、次の日の夕飯の献立を考えることだった。
ちなみに最近のはまりは和食だ。
スザクに頼んで買ってきてもらった和食の本はこれで三冊目。
どれも似たような内容だけれども、その本によって微妙な味付けが違う。
それを研究するんだと言いたて、嫌そうなスザクにわがままを言い、買ってもらった。
どこにも行けないのだから、これくらいのわがままは許されるだろう。
それがルルーシュの見解だ。
朝日がだんだんと昇り始め、空が明るくなってくる。
それを横目に見たルルーシュは、その本にしおりを挟み、ソファーをたった。
きぃ、と扉を開く。
カーテンの閉められた、暗い部屋。
スザクの、部屋。
ぺたりと歩いてベッドによれば、スザクがすうすうと寝息をたてて寝ていた。
「…こいつ、おれが吸血鬼なのを完全に忘れているな。ここで噛まれて殺されたらどうするんだ、ばかめ」
ふん、と、どこか馬鹿にしたように言葉を呟くルルーシュは、それに反して、相手を起こさないようにゆっくりと布団の中にもぐりこんだ。
先にスザクが寝ていたから、布団の中は、あたたかい。
そして、しばらくしてから、身体がゆるく拘束される。
きゅ、と、まわる、スザクの、腕。
「くるしいだろ、…ばか」
もう一度、ルルーシュは呟くと、その菫の瞳を閉じた。
朝は、もうすぐ。
そして、朝と夜に繋がる
「…どうしてこうなっちゃったかなぁ」
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