[携帯モード] [URL送信]
エンドクレジット


「ルルーシュ、起きろ」


聞こえてきたのは、授業が開始されるチャイムの音。
そして、双子の兄、ゼロの声。

「・・・眠い」
「眠いじゃない」

スパリ。
あぁ、こんなにもよく晴れているのに、なぜ大人しく授業など受けられよう。
ゼロは、優等生だからな。

よく、おれとゼロは似てると言われる。
確かに自分たちは、一卵性の双子なのだから似ていて当たり前だ。
でも、でも、やっぱり、おれとゼロは違うと思う(ゼロはおれと同じなことを望んでいるけれど)
たとえばそれは、ただ単に、瞳の色が違うとか、そういう簡単なことじゃない。
魂の次元の話。
元は一緒でも、この世に生を受けた瞬間からその魂は個々のものとして輝くのだから。
それは、生を否定されたおれたちに当てはまるのかは、わからないけれども。
でも、きっとそうなのだろう。
おれは、ゼロじゃない。

「次の授業はでるから」
「ルルーシュ」
「ゼロも一緒に寝よう?」
「・・・しょうがないな」

ずっと、ずっと、一緒にいる半身であり、片割れ。
おれがナナリーを守るように、ゼロは、ナナリーと、そして、おれまでも優しく包む。
それは幼い頃からそうであって、おそらく、これからも変わらないであろう、事実。
だからか、周りからは、同じ考えをもっているように見えるが、ゼロのほうがしっかりしている、という評価をされることのほうが多い。
確かにそうなのだろうな、とも思う。
でも。
だからこそ。
周りは何もわかっていないんだ。
ゼロは、強くなんか、ない。

「・・・寒いよ、ゼロ」
「外だからな」
「寒い」
「・・・おいで」

幼い頃から、守ってくれた、ゼロ。
陰口から、守ってくれたのも、ゼロ。
本当は、自分だけ紅い、その瞳を、とても、とても気にしているのに、それなのに、おれと、ナナリーと母様のためだけに、逆に利用した。
自分が傷つくということを無視して。
そして、余計に、ゼロはその紅い、瞳を、嫌悪した。
時がたち、やっと訪れた平穏の中だって、それが壊れないように、きっとおれやナナリーの知らないところで、かわりに傷ついてる。
それを知らせることはないけれど。

「ねぇ、ルルーシュ」
「なに?」
「今日もスザクと帰るのか?」
「あぁ。」

ゼロが、おれに弱さを見せたのは、おれとナナリーが日本に送られると決まったときだけ。
出発の前の夜、だけ(それは、おれしか、しらない、ゼロ)(世界が、汚く見えた、あの夜)(そんな世界に、ゼロはあげない)


それだけだった。


それからは、一度も見たことがない。
たまに寂しそうな顔をしたりするだけ。
たまにおれに触れるだけ。
再会したゼロは、傷ついて、世界に、絶望、してた。

そんな世界ならば、おれは、いらない。
ゼロが、ゼロを、ゼロに、やさしくない世界なんて、うつくしくも、なんでもない。
それでも、ゼロは、きっとこの世界を愛しているのだろう。
それが、おれと、ゼロの、違い。

だからこそ、おれはまだ、生きながらゆるやかな死に向かい、それでも、この愛しい片割れの傍にいるんだ。

「ルルーシュは、スザクが好き?」
「うん、いちばん、すき」
「そうか」




だから、エンドクレジットに並ぶときは、一緒じゃないと許さない。
「でも、あいしているのは、ぜろ、だけ」








[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!