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リトルドッグ!だっしゅ!






「そして、僕達は先輩の作りあげた伝統を守っていきたいです。

新入生代表、枢木スザク」




叫ばなかったおれを、誰か褒めてくれ。







春休みも終わり、季節は同じ春でも、入学の春になった。
お隣のちょっとおませな小学生、枢木スザクも、この四月から中学先だ。
春休みの間は、やっぱり時間が許す間、ずっと一緒にいて。
その時に何度も、制服姿を見たいと頼んだが、全て断られた(食べさせてくれたら見せてもいいと言われた)(なんだその割に合わない交換条件は!)
そして、スザクが中学生になるのと同じく、おれも学年が上がり、高校三年生、いわゆる受験生になった。
中学生から高校生になるときは、ここ、私立アッシュフォード学園が中高一貫ということもあり楽だったが、入学するのも卒業するのも難関で有名な学園への入試は、それは面倒だったことを覚えている。
そんな思い出しかない受験生をもう一度。
正直、気が思い。
勉強をすると事態は嫌いではないが、やはり時間を束縛され、なによりも相手にしてもらえないスザクを見ているのが、きつかった(あんな捨てられた子犬みたいなのを見たら誰だってそう思うはずだ!)
話がずれてしまったが、ようするに、スザクもおれも、お互いに忙しくなり、今までのように会うことが難しくなった、ということだ。
会えなくなるのは、寂しい。
きっとこれは、巣立ちする我が子を見守るゆうな、気持ち(だからこんなにも、胸が、痛いんだ)

本当は、スザクの入学式に行って、祝ってやりたかったが、生憎、学園の入学式と地域の中学校の入学式とが重なり、生徒会員のおれは、その舞台へと、会長として、在校生代表として、出席しなければならなかった(アッシュフォードでは中等部の式も高等部生徒会が担当するんだ)
正直、名前も顔も知らない人間を祝う気なんて、おれにはなく、仮病でも使ってスザクの入学式に行こうとしたが、ピザ一枚で釣られたC.Cに確保され、連行された。(信じられないが、C.Cも生徒会員で副会長で、おれのパートナーだったりする)(というかならば仕事をしろ!サボるな!)

「おい、どういうことだあれは!なんでスザクがここにいる!」
「入試に受かって入学金を払ったからだろう」

そんなこと聞くな。
思いきり馬鹿にされた。
そんなの誰が見てもわかる事実だ!
おれがいいたいのは、そういうことではなく、だから!

「落ち着けルルーシュ、私を失望させる気か?」
「誰がお前に期待されたいと言った」

ダメだ、こいつは話しにならない。
舞台袖から、再び覗けば、アッシュフォードの制服を身に纏い、あのおれルール全快なスザクが、真面目な顔で礼をして、席に戻った。
その顔は、まるで剣道や柔道の試合前と同じ。
いや、そんなことより、だ。
別にここ、アッシュフォードに入学するのは別にいい。
おれだって嬉しい。
だか、なんであいつ、新入生代表なんて?
その大役は、何年か前に、おれも引き受けたもの、つまり入試主席者が強制でやらされる役。
つまりなんだ、あいつ、この難関校に受かっただけじゃなく、主席だったのか?!
あの、スザクが?!信じられない!

そして、もんもんと考えているうちに、入学式は、幕を閉じた。
「ルルッ!」

式が終わり、そして新入生にとってのホームルームも終わり、スザクはおれと同じ、けれども少し大きめに作られた黒の学ランをはためかせ、校舎から飛び出してきた。
おれは、生徒会員は、式が終わればそのまま帰ってよかったのだけれども、そのまま残りスザクを待っていた。
「スザク、お前、アッシュフォードに入ったのなら言えよ」
「だって、ルルを驚かせたかったし!
なぁ、おれ、かっこよかった?」

おそらく、犬ならしっぽをブンブンと振ってそうな笑顔で、スザクは聞いてくる。
腕にもくっついてくるその姿が、中学生にもなり、少し遠くなったと思った関係が、そんなに離れていないことを示した。
だから、おれも、スザクの頭を撫でてやる。

「あぁ、完璧だ。言葉もかんでなかったしな、かっこよかった、よ」

最近になっては、以前に比べて褒めなくなったおれが言うその言葉に、スザクは、満足そうに笑った。
そして、そんな笑顔を可愛いな、と思いながら、おれは、スザクに問う。

「それにしても、スザクがこんなに頭がいいなんてな。
もう、おれが勉強を教える必要もないんじゃないか?」
「は?」

おれが知っているスザクの成績は、中の上、もしくは上の下。
頭は悪くないが、まさかここまでいい、というイメージでもなかった。
それが、入試主席。
おれが教える必要は、もうない。

「なに言ってるの?おれ、別に頭よくないし」
「そんな事を言うな。
さっき代表をしていたのがその証だろ?」

ん?とスザクは、考えこむ。
ちなみにその間もおれにひっついたまま。
そして、あ、と声をあげた。

「だって入試、マーク式だったじゃん、だから!」
「・・・は?」
「だから、九割くらい感で埋めたらあってた!」

ルルって頭いいの知ってたけど、こんなに難しい学校の一番なんて凄いよな!
なんて、明るいく、スザクは、言った。
ちょっと待て。
なんだ、その、まさか入学出来るなんて思ってなかった的なセリフは。

「どういう意味だ?」
「だから、ほぼ感でやったらあってたんだって。そもそもおれ、入試対策とかやってないし」

そうだ、こいつと今までずっと一緒にいたのはおれで、いなかったときは、スザクの稽古があるときだけ。
なのな、こいつが塾に行ったところなんて、見たこともなければ、聞いたこともなかった。
じゃあなんだ、こいつは、あの難問を感だけで乗り越えたのか?!いや、しかし、入試は筆記だけでなく面接もあったはず。

「面接はナナリーに練習してもらった」

ようするに、スザクがアッシュフォードを受験したのも、それに合格したのも、知らなかったのは、おれだけ、ということか。
なんだか、もの凄い脱力感を感じた。

「ルルの、会長の言葉もかっこよかったけどさぁ」
「けど、なんだ?」

一人、脱力していると、スザクが少し難しい顔で呟く。
なにかおれは、変な事を言っただろうか。
いや、スピーチ内容は何度も確認したし、変なところなんてはいはず。

「敵が増えたよなって」
「は?」
「・・・ルルって鈍い」

はぁ、と大きなため息をつき、スザクは言った。
鈍いって、我が道独走且つエアークラッシャーのスザクにだけは言われたくないのだが。

「ま、今年からはおれも同じ学校だし、身のほど知らずには容赦しないけど」
「だから何を物騒なこと言ってるんだ」

そして、スザクは、今までと変わらない、けれどもどこか成長した笑顔で、手をひいて歩き出した。

このときは、おれもなんだかんだ言って、スザクと一緒に登校できることで、心が弾んでいたので、だから、スザクが入学した、ということは、おれの残り一年の学園が、振り回されるというのも、同時に決定したと、気が付いていなかった。




これで家でも学校でもおれのもの!
それでも感で主席って・・・!








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あきゅろす。
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