[携帯モード] [URL送信]
0と6の相性



ふわりとなびく、黒のマント。
それと同じ、色。
けれども、ただの黒、ではなくて、夜空の色を詰め込んだような、少し長めの黒髪が、片目につけられた眼帯を隠す。
他人よりも、狭い視界。半分しかない視界。

けれどもルルーシュは、そんなことを気にすることなく、廊下を歩き、そして、彼の仲間が集うラウンジへと、足を踏み入れた。




「アーニャはいるか?」





青い青い空。
手を伸ばしても、その色は、どこまでも続く。
そして、その空の、爽やかな青とはまた違った色の青をを、ルルーシュはその瞳にのせていた。

先日、ルルーシュの元に下れた命令。
それが、今、ルルーシュの顔を青ざめさえる原因の一つだった。

ルルーシュは普段、戦闘に出ることはない。
理由は、ただ単純に、彼のナイトメアの操縦センスが低いからだ。
なのになぜラウンズになれたのか、それは、周りも知らなければ、本人のルルーシュも知らない。
しかし、それでも、ルルーシュは今まで、自身の頭脳でもって、その欠点を克服してきた。
だが、いつも司令塔から支持を出すだけでは、見えないこともある。
その場でないとわからないことも。

だからだろう。

ルルーシュに、前線に出て支持をだすようにと、命がくだったのは。
そして、操縦の上手くないルルーシュに対する配慮として、同じラウンズの仲間が操縦するナイトメアのコックピットに搭乗するようにと、付け加えられていた。

結果、ルルーシュが選んだパートナーは、今回、アーニャだったのだ。
しかし、その判断を、今、ルルーシュは、全力で後悔していた。

「…アーニャ、本当に大丈夫なのか…?」
「大丈夫。まかせて」

ルルーシュは、アーニャの座る席の後ろに少し身をかがめて、一緒にモニターを見る。
基本的にアーニャの操るモルドレッドは遠距離での後方支援タイプだ。
前線で個々を目標に戦うトリスタンやランスロットとは違い、後方でハドロン砲などを使い、敵勢力の戦闘力を崩していくのが役目だ。
なのだ、が。

ぴこぴこ、と、戦場には似つかわしい音が、鳴り響く。
ルルーシュは、あえて、激しく繰り広げられる戦闘を映すモニターだけを見ていた。

ぴろりん、と、かわいらしい音が、響く。
それでもあえて、ルルーシュは、モニターを見つめ、そして、戦場に支持をだす。

「…記録」

また、ぴこ、と、かわいらしい電子音が響き、アーニャが嬉しそうに口元を緩めたのを、ルルーシュは気配で感じ取った。
そして、視線を戦闘に向けたまま、ルルーシュは、問いかける。

「…なぁ」
「なに」
「アーニャは…今、何をしているんだ?」
「ルルーシュを記録してる」
「なぜ!?今は戦闘中だろう!?おれか!?おれが間違っているのか!?」

がん、と、ルルーシュはコックピットの機材に頭をぶつける。
わからない、わからない、どうして戦闘中にのんきに写真撮影なんてできる。
うるる、と、ルルーシュの瞳が、涙で滲み始めたそのとき、ビーっと、コックピット内に敵機が接近したと知らせる警告音が響いた。
は、と、ルルーシュが顔をあげる。
だが、その時にはすでに敵機により、標準をつけられた後で。

やられるっ!

ルルーシュが身をかまえたそのとき。



「…邪魔しないで」


がちゃん、と、アーニャの目元に標準機が当てられ、そのままハドロン砲が勢いよく放たれた。
戦場には一気に、ハドロン砲が作った空間ができあがる。
ぽかん、と、口を開けたルルーシュを、アーニャは、邪魔ものがいなくなったと満足したように息をつき、そして、再び、ぴろりんと音を鳴らし始めた。


『アアアァァァァニャァァアアアアァァァアアア!!!!!!私たちまで落とす気かああああぁぁぁぁああああ!!!!』
「いっそ落ちればいい」
『…ふふ、僕もつい間違えて後方に向けて撃っちゃいそうだな』
「こっちにはルルーシュもいる」

見知った声が、大ボリュームでコックピットに響く。
しかも、オープンチャンネルで。
ぴたりと一瞬、戦場の空気が固まる。
全員、思ったのだろう。
このままじゃ、巻き込まれると。

アーニャは、今まで手に持っていた携帯電話をしまうと、再び、標準を当て始めた。
それに続くように、ルルーシュには、なぜか、味方機であるはずの白い機体が前線から後方に向かってきている、ような、気がした。
しかも、某可変式の機体もちゃっかりついてきている。



「二人とも、落とす」



桃色の髪が、ふわりと揺れて。




戦場に悲鳴が響いた。




0と6の相性
戦場では携帯電話禁止!!!!




[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!