ダージリン おはよう、ナナリー。 今日はとてもよく晴れているよ。雲一つない青空だ。空が、とても高い。 ブラシをかしてごらん。 今日もナナリーの髪の毛はきれいだね。え?そんなことさいさ。ふわふわしている方が可愛らしいくていいじゃないか。おれは好きだよ。こうやってブラシをかけるのも、なでるのも、見てみるのも好きだから。 ・・・うん、好きだよ。撫でてるとなんだか犬を相手にしている気がするけれど。 さぁ、できた。朝ご飯を食べに行こう。 今日は、トーストにマーマレードのジャム、紅茶はダージリンだって言ってたよ。それから、フルーツにリンゴ。昨日、食べたいって言ってただろう? すごく美味しそうだったよ。真っ赤で、甘い香りがするんだ。 気にしなくてもいいよ、おれも食べたいなって思ってたから。それに、実は買いに行ったのはおれじゃないんだ。 そう。 昨日、ナナリーが寝た後にメールが来てね。来るって書いてあったから、それならと思って頼んだんだ。 だからお礼なら、アイツに言ってあげて? それにしても、相変わらずこういうのを選ぶのは得意みたいだよ。 あぁ、七年前も選んでくれたからな。 これだ、と思って選んでも絶対にこっちの方がおいしいって譲らなくて。 それで食べると本当にそっちの方がおいしいんだ。 もしかしたら、本当に犬なのかもしれないな。 ふふ、嘘だよ。あぁ、今のは内緒だよ、ナナリー。知ったらきっとすねる。 アイツも、ナナリーの前ではお兄さんになりたいんだよ、きっと。 え?・・・だったらおれが、兄、かな?だってアイツが兄なんて、想像できないな。 それに、だったらおれが、ナナリーと、アイツを、守りたい。 こらナナリー、笑うところじゃないぞ。 あぁ、忘れてた。 今日は少し、帰ってくるのが遅いかもしれないんだ。 いや、夕飯には間に合うよ。 一緒に食べよう。 うん、生徒会は休みなんだけど、ちょっと、その、買い物に付き合おうかと思って。 まさか!そんな人いないよ。行くのはアイツだよ。 この間、宿舎の方にいったんだけど・・・部屋の中にあまりにも物がなくて。 おれには余るほどいろいろとくれるのに、自分には何もないんだ。何を買えばいいのかわからないって。 それで、一緒に買いに行こうと思って。 あ、だから今日の夕飯にアイツも誘おうと思ったんだけど・・・いいかな、ナナリー? そう、だね。 三人で食べるのも久しぶりだね。うん、最近は忙しいって言ってたから・・・。 でも、今日はないって言ってたんだ。 それに技術部で危なくないって言ってたから。 ・・・大丈夫だよ。 それに、上司の人も良い人だって言ってたよ。 ほらナナリー、おにぎりって覚えてる? うん、そう、具をご飯で包んであるやつ。 それを夜食にもらったりとかしてるらしいよ。 え?おれ? ・・・あげた事はない、かな? でもおれが渡しても・・・もう上司の人にもいろいろ貰ってるみたいだし。 そうかな?だったら、今度作ってあげようかな?もちろん、ナナリーには一番美味しそうなのをあげるからね。 そう言えば、そのおにぎりの話をしたとき、妙に目がウルウルしてたな。 そうだね、きっと好きで懐かしくてうれしかったんだろうな。 じゃあ、ナナリー、開けるよ。 待たせたな、スザク。 [次へ#] |