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裏地球史ミステリー
アトランティス伝説(構想と背景)

【プラトンのアトランティス伝説(構想と背景)】


『ティマイオス』と『クリティアス』は、プラトンがシュラクサイの僭主ディオニュシオス2世 (紀元前390頃-330頃) の下で理想国家建設に失敗した後、晩年にアテナイで執筆した作品と考えられている。


両作品はプラトンの師匠である哲学者ソクラテス (紀元前470頃-399)、プラトンの数学の教師とも伝えられているロクリスの政治家・哲学者ティマイオス (紀元前5世紀後半)、プラトンの曾祖父であるクリティアス (紀元前500頃-420頃)

そして、シュラクサイの政治家・軍人ヘルモクラテス (紀元前450頃-408/407) の4名の対談の形式で執筆されている。


『ティマイオス』では主にティマイオスが宇宙論について語り、『クリティアス』では主にクリティアスが実家に伝わっているアトランティス伝説について語っている。

ヘルモクラテスは一連の作品群で語りの役割を果たしていないが、作品中ソクラテスによって第三の語り手と紹介されていることから、 アトランティスとアテナイの間の戦争に関して軍人ヘルモクラテスに分析させた『ヘルモクラテス』という作品が構想されていたという説が、プラトンの対話集の英訳で知られる英国の古典学者ベンジャミン・ジャウエット (1817-1893)などにより提唱されている。

クリティアスの家で行われたとされるこの対談が現実のものであったとするのなら、ニキアスの和約が成立した紀元前421年8月頃のパンアテナイア祭りの最中で、 クリティアスの孫のプラトンはまだ6歳の少年としてこの話を横で聞いたということになる。


また、対談には病気で欠席した人間がいることになっている。

核となる伝説は、アテナイの政治家ソロン (紀元前638頃-559頃) がエジプトのサイス (Sais) の神官から伝え聞いた話を親族にして友人のドロピデス(紀元前6世紀前半頃) に伝え

更にその息子のクリティアス (紀元前580頃-490頃) が引き継ぎ、更に同名の孫のクリティアスが10歳の頃に90歳となった祖父のクリティアスからアパトゥリア祭 (Apaturia) の時に聞かされた事として、対話集の中で披露されている。


作中の神官によると、伝説の詳細は手に取ることのできる文書に文字で書かれていることになっている 。

ソロンはこの物語を詩作に利用しようと思って固有名詞を調べたところ、これらの単語は一度エジプトの言葉に翻訳されていることに気付いた。

そこでソロンはエジプトで聞いた伝説に登場する固有名詞を全てギリシア語風に再翻訳して文書に書き残し、その文書がクリティアスの実家に伝わったという


ソロンは結局帰国後も国政に忙しかったため、この伝説を詩に纏めることができなかったとされる、
『ティマイオス』の冒頭でソクラテスが前日にソクラテスの家で開催した饗宴で語ったという 理想国家論が要約されるが、その内容はプラトンの『国家』とほぼ対応している。


そして、そのような理想国家がかつてアテナイに存在し、その敵対国家としてアトランティスの伝説が語られる。

アマシス2世 (Amasis; アアフメス2世, 紀元前600頃-526年)が即位した後の紀元前570-560年頃、ソロンは賢者としてエジプトのサイスの神殿に招かれた。


そこでソロンは、デウカリオンの洪水伝説で始まる人類の歴史の知識を披露する。

すると神官たちの中より非常に年老いた者が言われた。

「おおソロンよ、ソロン。ヘレネス (ギリシア人) は常に子供だ。
ヘレン (ギリシア) には老人 (賢者) がいない」


「神官は、古来より水と火により人類滅亡の危機は何度も起こってきており、

ギリシアではせっかくある程度文明が発達しても度重なる水害により都市とともに教養ある支配階級が絶滅してしまうため

歴史の記録が何度も失われてしまったが、ナイル河によって守られているエジプトではそれよりも古い記録が完全に残っており

デウカリオン以前にも大洪水が何度も起こったことを指摘する。

また、女神アテナと同一視される女神ネイト (Neith)が神官達の国家体制を建設してまだ8000年しか時間が経っていないが、アテナイの町はそれよりさらに1000年古い9000年前 (即ち紀元前9560年頃) に成立しており、女神アテナのもたらした法の下で複数の階層社会を形成し、支配層に優れた戦士階級が形成されていたことを告げる。


その頃ヘラクレスの柱 (ジブラルタル海峡) の入り口の手前の外洋であるアトラスの海 (大西洋)にリビアとアジアを合わせたよりも広いアトランティスという
1個の巨大な島が存在し、大洋を取り巻く彼方の大陸との往来も、彼方の大陸とアトランティス島との間に存在するその他の島々を介して可能であった。


アトランティス島に成立した恐るべき国家は、ヘラクレスの境界内 (地中海世界) を侵略し、エジプトよりも西のリビア全域と、テュレニアに至るまでのヨーロッパを支配した。

その中でギリシア人の諸都市国家はアテナイを総指揮として団結してアトランティスと戦い、既にアトランティスに支配された地域を開放し、エジプトを含めた諸国をアトランティスの脅威から未然に防いだ。」


「しかしやがて異常な地震と大洪水が起こり、過酷な一昼夜が訪れ、あなた方 (=アテナイ勢) の戦士全員が大地に呑み込まれ、アトランティス島も同様にして海に呑み込まれて消えてしまった。


それ故その場所の海は、島が沈んだ際にできた浅い泥によって妨げられ、今なお航海も探索もできなくなっている」


ここでクリティアスは太古のアテナイとアトランティスの物語の簡単な紹介を終え、以降ティマイオスによる宇宙論へ対談の話題が移る。


『クリティアス』⇒作品の冒頭の記述から、この作品は先の『ティマイオス』の対談と同じ日に行われた続編にあたる対談であることが示唆されている。


ティマイオスにおける宇宙論に引き続き、今度はクリティアスがアテナイとアトランティスの物語を披露する。

「アトランティスと戦った時代のアテナイ」

9000年以上前、ヘラクレスの柱の彼方に住む人々とこちらに住む人々の間で戦争が行われた時、それぞれアテナイとアトランティスが軍勢を指揮した。

当時のアテナイ市民は私有財産を持たず、多くの階層に分かれてそれぞれの本分を果たしていた。

また、当時のアテナイは現在よりも肥沃であり、約2万人の壮年男女からなる強大な軍勢を養うことが出来たし、アテナイのアクロポリスも遥かに広い台地であったが、デウカリオンの災害から逆算して三つ目に当たる彼の大洪水により多くの森が失われ、泉が枯れ、今日のような荒涼とした姿になってしまった。


また洪水のたびに山岳に住む無学の者ばかりが生き残るため、今日アテナイには当時の統治者の名前ぐらいしか伝わっていない。

エジプトの神官は当時のアテナイの王の名前として、ケクロプス、エレクテウス、エリクトニオス、エリュシクトンなどを挙げたとソロンは証言している。


「アトランティスの建国神話」

アトランティス島の南の海岸線から50スタディオン (約9.25 km)の位置に小高い山があり、そこで大地から生まれた原住民エウエノルが妻レウキッペの間にクレイトという娘を生んだ。


アトランティスの支配権を得た海神ポセイドーンはクレイトと結ばれ、5組の双子の合計10人の子供が生まれた。

即ち『アトラスの海』 (大西洋) の語源となった初代のアトランティス王 アトラス、スペインのガデイラに面する地域の支配権を与えられたエウメロス(Eumelos) ことガデイロス(Gadeiros)、アンペレス(Ampheres)、エウアイモン(Euaimon)、ムネセウス(Mneseus)、アウトクトン(Autochthon)、エラシッポス(Elasippos)、メストル (Mestor)、アザエス(Azaes)、ディアプレペス(Diaprepes)で

ポセイドーンによって分割された島の10の地域を支配する10の王家の先祖となり、何代にも渡り長子相続により王権が維持された。


ポセイドーンは人間から隔離するために、クレイトの住む小高い山を取り囲む三重の堀を造ったが、やがてこの地をアクロポリスとするアトランティスの都、メトロポリス(metropolis)が人間の手で形作られていった。


とあります( ´∀`)/~~


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