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〜闇夜物語〜
メキシコの女王の宝物;9



ついにみんなの意見が
まとまり

老船頭の命令で
みんなで小島の一隅に

深い深い穴を掘りて
その不気味な柩を埋めて
しまったのでした。


この作業中はほとんど声を
出すものもなくて…

ただ黙々とそのうちに
終了した。


すっかりと埋めてしまって

額の汗を拭きながら
一同は思わずホッとした


気持ちで互いに顔を
見合せたほどでしたそうな

この時、老船頭は
一同の者におごそかな声で

こう申しわたしたとされる。

「皆の衆、よう聞いて
くれんかの…」


「今日、わしゃたちは
まことに不思議なことに
出っくわぁした」


「こう今考えると
まるで夢のようじゃ!」


「わしたちの醜い心を
試そうと

海神様が夢を見させて
下さったようじゃ!」


「しかし…この事が
本当じゃったとしても…

亡骸の入った柩をあばいた
わしらに後にくる祟りが
ほんに恐ろしかこつはない

それに宝物を発見した
こつがお上の耳に
入ったら…

わしたちゃ?どんな
おとがめをいただくかも
しれんのじゃ!」


「ここにこうして柩を
埋めてしまったほうが
一番いいことじゃ」


「この亡骸のお方も
長いこつが海を漂って
淋しかったろうに


いまようやく陸地(おか)
で安らかに眠りに
つくことができる…

知らぬ地に独りぼっち
やけんどの…」


「いいか皆の衆、今日の
出来事はどんなこっが
あっても人に語っちゃ
いかん…


この事を、みんな堅く
約束してくれ!」


漁夫、一同は深く
うなづきをかわしたそう
です。


たとえどんなことが
あっても決して他言は
しない。

二度とはこの小島には
上陸はしないと誓いあった

それから月日は流れて
戦時中は軍隊までもが

このことで あちらこちら
で発掘はしたが…
いまだかって見つかって
ません。


(完)




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