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〜闇夜物語〜
メキシコの女王の宝物;8




船は早々と島の南端にある
沖ノ小島の前に
さしかかってまいりました

老船頭は、ともかく船を
小島のそばにある
日井の浜につけて


なおよく 箱の中を
調べて、その処分方法を
じっくりと相談すること
にしたそうです。


箱を磯に引き上げて
みんなして苦心の末に
箱のフタを取りのぞいて
見たものです。



頑丈な黒みがかった
その箱は、青白い白骨を
ほとんど埋めつくすほどの

奇妙なカタチの金銀財宝
の山がキラキラと
皆の目を射しました。


島の漁夫たちにも
いまだかって一度も
見たこともない


赤や青や緑の美しい石に
混じって

小指の先ほどもある
真珠玉を幾十となく
つないだ紐のようなもの
が入っています。


赤や緑の見たこともない
石はともかく


この真珠玉の紐だけでも
何百両の価値があるもの
かも想像がつきません。


なおもよく見ると亡骸の
肩のあたりに厚い皮表紙
の本がおいてありました。
何かしらの手がかりに
でもあるのではないかと


1人の漁夫が恐る恐る
その本を取り上げて中を
開いて見ましたが…


何だか訳もわからぬ記号
のような横文字が
いっぱい書いてあるものの
さっぱり読めませんでした

ここでまた…

「宝物だけ港に持ち帰ろう…」

という漁夫と

「あとあとの祟りが
恐ろしいから、この小島
あたりに埋めてしまおう」

という爺の漁夫との組
とのはげしい意見の
ぶつかり合いが合ったが


然し何といっても日々の
暮らしも乏しい漁村の
漁夫たちにとっては


その宝物の価値はあまり
にも大きすぎました。


まして金色の髪をした
異国人の白骨の亡骸の


異様な不気味さ…もありて

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