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〜闇夜物語〜
狂骨,参
その頭には黒く
つやめく髪がのっていた。

その陰陽師は
声も出さずにガタガタと
震える男にむかって
こう言った。

「この死骸の上に
またがって、馬の手綱の
ように両手で髪を
つかみなさい。…」


「自分は朝には
もどってくるが
それまでは、けっして
つかんだ髪の毛を
はなしてはならない。」


「もしはなせば悪霊は
貴方をばらばらに
引き裂いてしまいますぞ」

男は、血も骨も
凍る思いで
女の死骸の背に
またがったそうな

やがて夜となり
女の死骸がもぞもぞと
動いた。

「やけに、重たいな」

という声が聞こえてきた。

「やつめを探し出して
さっさと殺して
しまわねば…」

そう低くつぶやくと
かっての妻は

男を背負ったまま
床から起き上がり

戸を引きはなって
外におどり出た。


そうして、夜の暗やみの
なかをまっしぐらに
走っていく。

男は、両のこぶしに
髪をまきつけて

必死になって
その死骸の背に
またがりつづけた。


どこへいくのか、女は
あちらと思えば?

またこちらへ風を
切って走りめぐる。

男の目には…


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