[携帯モード] [URL送信]

∞陰陽道探究∞
魔界と陰陽師の霊戦[6]
(ナマナリ)つまり…

生霊(いきすだま)


「人の深層心理が
生み出したバケモノ」

鞍馬山の西麓を貴船川に
そって北上していくと…

「丑の刻(うしのこく)
参り」の霊地として
知られる

貴船神社へのコースです。
道の左手には、濃密な
木霊(こだま)の気に
満ちた杉林がえんえんと
つづき……

右手には、貴船川の流れる
小渓谷をはさんで、
森が幾重にめ積み
重なって盛り上がった
ような緑深き鞍馬山が
そばだっていまする

鞍馬山は、大地の力を
象徴する
「護法魔王尊
(ごほうまおうそん)」
を祭る

平安京の北方を守護する
王城鎮護
(おうじょうちんご)の
山だった。

その特異な……
シチュエーションは
おのずと、おごそかな


異界を巡礼する霊妙
(れいみょう)な心地に
誘い込みます。


「丑の刻(うしのこく)
参り」などに限らず

憎悪、嫉妬に狂った
呪った怨念の生霊は……

変化をしていく。
平安王朝の時代には
激しくもだえる魂は

生霊となって体から遊離
するものだとされていた。

『源氏物語』の
「葵(あおい)の巻」

では、光源氏の愛人
だった六条御息所
(ろくじょうの
みやすどころ)が、

源氏の子を宿した葵に
激しいジェラシーの炎を
燃やす。


そして、臨月をむかえた
葵の上は、突然に
失神状態におちいる。

葵の寝所には悪霊を
退散させる芥子(けし)
が焚(た)かれるのだが
侍女たちは、その悪霊は
御息所の生霊に
ちがいないとしきりに
ウワサする。

いっぽう、毎晩のように
葵の首を絞める悪夢に
うなされる御息所は


自分の体に染み付いた
芥子の匂いによって
自分が生霊と化して葵の
首を絞めにいっていた
ことに気づくのです。


人間の心理の最下層には
原始的本能がある、

心神喪失状態における
暴力行為、破壊行為の
根源である

深層心理の獣性から
発生する生霊が、

本人にもとりつく
場合もあるが、

ナマナリ(生成り)
という能面は
女の容貌をかたどった

面から小さな角が
生え出ている。

角を生やした鬼面に
変貌した

このナマナリは
生霊がモノノケに
変異した姿である。

[*前頁へ][次頁へ#]

6/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!