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神の名鑑
大元帥明王

大元帥明王、だいげんすい‐
但し真言密教においては、大元帥の(帥)の字は発音せずに大元帥明王と書いて「だいげんみょうおう」
と読むほか、その読みのままに、大元明王-と記すこともあります。

大元明王は古代インド神話に登場する魔神アータヴァカ(アタバク・アータバカ)「広野鬼神大将」とも漢訳されます。

直訳してみると「荒野の鬼神」「林に住む者、林の主」の意が仏教に包括されて仏となった神です。

また、古くは毘沙門天の眷属である八大夜叉大将のひとりで、アタバク夜叉大将
アタバカ鬼神元帥とも言われ
この夜叉王のアータヴァカの由来はかって辺境を守護する屈強な山岳民族=であるアータヴァカ族であった。
アータヴァカ族は慰撫しがたい戦闘民族(夜叉)アータヴァカはインド神話においてはまさに弱者を襲っては喰らう悪鬼神だったが、大日如来の功徳により善の神へと生まれ変わり、その強大な力をそのまま護法の守護力へと変えて仏教を守護します。

大元帥明王は大元帥の名が示すとおり明王の中でも
最高的な存在の不動明王に匹敵する霊験を有するとされ一説には「全ての明王の総帥であることから大元帥の名を冠する」と言われてます。

容姿は一面六臂から八面十六臂まで様々ですが、一面の憤怒相は筋骨隆々たる
たくましい体つきで六本の腕に武器を携え軍荼利明王と同様に身体に蛇を巻きつけています。

顔はもはや憤怒相を通り越して、まさに鬼神そのものとも言うべき、恐ろしい相で髪は怒りによって天をつらぬくように逆立ってます

□特質、国家の鎮護
わが国では、九世紀のなか頃以来外敵から国を守る
祈祷のためにまつられました。


また大聖無辺自在元帥明王ともいわれ、宮中だけで修される鎮護国家の大法(大元帥護修法-たいげんのみしほ)の本尊として重んじられてます。

勅許を得ないで修法を行うことも、尊像を造顕したり奉置したりすることも禁じられている。

このため日本では奈良「平城京」の北西に建つ秋篠寺(あきしのでら)だけに唯一の像が伝えられているという(最古)。

数ある明王の中でも、ひときわ威力をもつ恐ろしい明王だと伝承されています。

現代では大元帥明王の信仰は余り聞かないですが、だが秘法中の秘法となっている大元帥修法は、京都の
教王護国寺(東寺)で毎月1月8日から14日まで「後七日御修法」として修されています。

大元帥明王は国土を護り敵や悪霊や悪魔の降伏に絶大な功徳を発揮するといわれ、宮中では古くから必勝祈願や敵国粉砕の祈願として大元帥明王の秘法が盛んに厳修されていました。

また祈願の功徳は反乱や疫病の平定や雨乞いや天候の変化にまで及ぶとされていて、その力は護国防衛にまで修されていました。


◇アータヴァカ説話
王舎城(古代インドのマガダ国の都)に賊のために苦しめられ、蛇に悩まされ、鬼にいじめられて、ほとほと困り果てた一人の比丘(僧)を見た鬼神アータヴァカは、
ブッダのもとを訪れて、自分はなんとかして悪鬼神を降伏し、全ての人びとから苦しみを取り除きたいので、降伏する呪を授けて欲しいと願った。

するとブッダは

「願わくは、この身体を捨てて大力勇猛の神となり、無量無辺の悪賊悪人をこらしめ、極悪の天魔鬼神を破ってみせよう。

もしこの世界のなかで、これらの者のために狂横している人びとがいるならば
私は人びとを救って、みんなに安隠を与えるだろう。
アータヴァカよ、私はアータヴァカの願いにより、今、無辺自在の元帥大将をつくり、諸々の神のなかで

最尊最上第一の者となろう。
よって、この神を、元帥鬼神大将アタバクと名づける」といったという。


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あきゅろす。
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