愛に触れる‖酷くしてください#
優しくされたら、優しくされただけ辛い。
ごめんなさい、僕にそんな価値は無いんです。
蔑んで罵って嘲笑って下さい、その方が僕にはお似合いです。
悲しいし、苦しいけどそうしてください。
僕には、そんな程度の価値しかないんです。
大切にしないでください、罪悪感に押しつぶされて死んでしまいそうです。
ぶたれるのは痛いですがしたければどうぞ。
僕は構いません。
痛いです、痛いですし悲しいですが、その方が僕が存在してると思えるのです。
貴方に必要とされていると思えるのです。
別に、突き放してくれてもいいのです。
どうせ初めから僕が誰かに必要とされる事なんてあるはずがないのですから。
嗚呼少しの間幸せだった、と。
そう思えれば充分です。
僕は僕を絶対に好きにならない人しか好きになれないのです。
愛情が、怖いのです。
「それでも、僕は君が好きだよ」
「ありがとう、苦しいよ」
いっそあなたが嫌いだと泣き喚いて責めることが出来たら、本当に、楽なのに。
「笑うくらい苦しいなら、死んじゃえば良いのに」
「じゃあ殺してくない?」
僕の腕は僕を殺さずに如何してか僕の心だけを突いて抉って、苦しめるんだ。
「ぼんやりとした心中ってのはさ、どっちかが生き残っちゃうんだよ」
「そうか。其れはきっと貴方のほうだね。」
「其れが嫌だから、殺したりなしない」
貴方の残酷さには恐れ入る。
触れないでくれ、優しくしないでくれ。
困る僕を見て、苦しむ僕をみて、如何して貴方は笑うんだ。
幸せそうに、幸福そうに。
ねぇ、愛憎って言葉しってる?
愛は最も憎しみに近いんだよ。
そしてその感情は、どっちも人を殺すことが出来る。
苦しい。
優しさが、痛い。
「泣けばいいのに」
「泣ければいいのにね」
貴方の指先が僕の傷口を無遠慮に掻きまわすんだ。
凄く、痛いよ。
「人間は、一人では生きられない」
「そうだね。だから僕はきっと早いうちに死ぬんだよ。」
誰も愛せないんだから、誰かに愛されるはずがない。
だから、痛いくらいに強い感情で、僕を縛ってくれたらそれでいい。
疑似体験する愛で十分だから。
「部屋に閉じ込めて愛してるって毎日囁き続けたらなんか変わる?」
「部屋に閉じ込めるまではいいけどそっから先をしたら僕は発狂して死ぬよ。」
「いっそ狂ったら楽なんじゃない?」
「狂う過程を体験したことある?死ぬほどつらいよ。」
「あぁ。だから、先に死んじゃうんだ。」
「貴方の猟奇的な愛情表現は好き。でも其れが本気だから辛い。」
「理解したいな。その思考。」
「きっと無理」
絶対に解らない。
貴方は結局誰に愛されようとも自分の愛が相手を縛れれば満足なんだから。
僕とは、正反対なんだ。
「根底は、歪みきってるところは何も変わらないのにな。」
「そうだね」
愛したい、愛されたい。
愛せない、愛されたくない。
「ほんと、何でこんなんなんだよ。」
貴方が絶望したり、苦悩したりする姿は好き。
内容はなんだっていい。
だからもっと苦しんだらいいと思う。
同じところに落ちてきてくれた気がして、凄く気分が良いんだ。
そんな高いところで、僕に愛してると囁いたりしないで。
其れは、僕の沈んだ井戸の底に飛礫を投げるようなもの。
吐きそうだ。
「神様が居るならきっと最上級のサディストだろうね」
「はは、神がいたら人間なんて不完全なもの生まれたりしないよ」
不完全な身体、不完全な感情。
本当に、如何して僕らはこんなに不完全なんだろう。
「それもそうか」
(そして未だに、愛に触れる勇気は、ない)
end
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