強迫性観念‖こうしなければならない
頑張れば結果が出た
頑張れば誉めてくれた
頑張れば相手にしてくれた
頑張れば優しくしてもらえた
頑張れば───
強迫性観念
与えられた事すら出来ないのは出来損ないだ
そう言い聞かされ、出来損ないはどちらかと囁かれた
私は違う
結果に不満はあっても、やり遂げりことは出来る
私は私を構成するために戦わなければならない
本当は誰一人他人に興味なんかなくて私なんかの小さな努力がちらついたくらいでは何も変わらない
わかってる
だからこそ頑張らなくていいように頑張ることにした
誰も期待しないように私はそうでなくてはならない
脆弱な意識の糸が私を操りあたかもそれらが生きているかのように動き出す
其れは何故か
そうしなければならないから
泣いても喚いても其れが本質的に他人に伝わることはない
無駄な事は口にださないほうが賢いと彼の哲学者は論じた
沈黙しなければならない
鋭い刃で心臓を抉られたら痛いだろうか
痛いだろう
しかし私は痛みに耐えねばならない
生きなければならないからだ
理由は知らない
生きなければならない理由を知っているやつなんているのだろうか
様々な人々が考え尽くして尚答のないことだ
考えても結局、繁殖以外の答えが見付からない
沈黙の中で渦巻く激情が私を酷く掻き乱す
───迷うな
其れでも生きなければいけない
生きなければいけないのだ
毎日毎日毎日毎日繰り返す事では私は私で居られる
そうしなければならないのだ
諾諾と続く日常に何も感じない動物ではないのだから意図して考えを掻き消さなければいけない
難しい事ではないのだ
其れ以上の義務が目の前に課題として立ち塞がるのだから
考えないようにすればいい
駄目だったら右手に握り締めた其れを滑らせて混濁した意識を明瞭にさせればいい
真理と現実とは案外単純で困難な事が多いのだ
しか、し、みんな、みんな、冷静なふりして、気違いだと云う結論に至った私は混濁した意識を明瞭とさせるために
右手に握り締めた其れを、深く、
ピアニカの奇妙な旋律が頭の中で響いている
此れはきっと私の回想、其処には何もない
何もない
空虚の中で明日の義務だけが私を構成していった
end
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