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神様は見ていた!‖綺麗なしにかたは蛋白質には出来ない



ばん、と壁を叩いた。


否正確にはアレだ、壁に止まっていた虫を叩いた。

虫は半分身体が潰れていたが、びくびくと痙攣していた


可哀想にと思いながらもごしごしと手を拭いてごしごしごしごしごしごし

私は髪の毛程の手を必死で動かして、潰れた身体を身体を必死で動かしている羽虫をぼんやりと見詰めていた。



多分死ぬだろう

否絶対死ぬだろう



私はふと思い付いた。

蛋白質の腐った臭いは迚も臭い。

虫の腐臭はどんなにおいだろうか。


軈て虫は動かなくなった。

私は潰れたまま壁に張り付いている虫を、暫く放っておく事にした。



何日も何日も何日も

腐ってなくなってしまうのを


私は神にでもなった気分で見ていたのだ








そして虫は僅かなシミを残して、襤褸襤褸になっていた





腐臭はしなかった





襤褸襤褸になった身体はどこにいったのだろうか?


腐臭も無ければ、人間の様なぐちゃぐちゃ感も無い。


ない、何もないのだ




私は壁に寄り添う様に眼を閉じた。



哀れだとは思わない。

寧ろ羨ましい限りだ。


嗚呼哀しき蛋白質人間。





くぅ、と私の喉が鳴った。


なぁに、人間なんて虫と同じ様なものさ。


私のなかにシミの様に滲んだ虫の意味。

知らないフリして知って居るんだ。





いきたくないよ。





end


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