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青空に殺される‖綺麗過ぎる空


透き通った青空さえも私を嘲り笑って居るようで


私は雨が好きだ


あの只静かに続く音が優しい

快晴は何時も憂鬱を運んで来る

そして今、雲一つない空が、私を酷く苛つかせた

苛苛と指を噛み、溜め息を漏らす

勿論周りには誰も居ない

快晴の中不機嫌な表情とは中中不自然なものだが、

太陽を睨み付ける事さえ出来ない私は仕様がない



爽やかな風が

切り揃えられた私の前髪を浚う


(少し伸びたな)


止めてくれと思うが、如何仕様も無いので矢張り不機嫌な表情になる

何故こうも晴れているのか

矢張り好きには成れない


誰しも雨の日に憂鬱と沈めばいいんだ

汚泥の中を生きれば良いんだ


嫌な気分になって、少し頭痛がした

陽の下を歩くのは向いていない

此れから更に日射しが強くなると思うと

うんざりした

温かくとも身体を射る程の光を浴びるのは御免だ

ジリジリと蝕むような照り返しも酷く不快だ


(あ、何だか息苦しい)


逸そ雨戸を締め切って太陽を遮断してしまいたい

勿論爽快な日差しも有るが、其れは私が日陰に居る時だけで有る

夏の噎せ返る程の熱を孕んだ風も、最早何らかの悪意を感じる



嗚呼曖昧な温さに引き摺られる



胎内の様だ


帰還、まさか


(考えたくもない)


揺るかな嘔吐感を感じ

只静かに春風に眼を閉じた


(何てこった青空に殺される!)



嗚呼かみさまおねがい曇天を呼んで



(夏がくる)



どうか、不快指数を上げないで

かみさま、かみさま

あんたなんて信じちゃいないけど居るなら変えて、私の鬱陶しい考え方ごと

嗚呼かみさま逸そのこと





夏に怯える私を殺して






end


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