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望まない結末でも‖精神系*




「如何した」

「うん」

「何だよ、うんって」

「なんだろうね」

君の腕は真っ赤で

私は間に合わなかったんだなぁと思った

「……隠したい?曝したい?」

眼さえ見れずに、ただ染まる腕を見た

「…ん…わかんない」

君は初めて困った顔をしたね

「じゃあ、隠そう」

私は、自分の腕につけていたサポーターを渡した

「いいよ、別に…」

「良くない。───別に、付いたって良いよ」

そう言えば無言で受け取った

「何でって、聞いた方が良い?」

「ううん」

「あ、そ」

君は自分の身体を抱えて小さくなった

「寒い」

「血は体温だからね」

「へー…」

ぼんやり見上げるその眼には、何が見えて居るのだろう

「わっかんないなぁ」

「え?」

「いやさ、ヒトって分かんないねぇと思って」

「…そうだね」

地雷だったかな、と思ったが考えても仕方がないので黙って視線を逸らした

「傷痕に、なるかな」

「深い?」

「わかんないよ、そんなの」

「そらそうだ。…力加減によっては痕になるよ。」

ほら、と君にこの腕を見せようと思ったが

また別の傷になるだろうと思ってので止めた

「帰る、ぞ」

「無理」

「私は帰るぞ」

「やだ」

普段我が儘を言わない君の言葉に、私は戸惑った

「…如何しろってんだよ」

「……」

踞る君の隣に座り込み、眼を閉じた

「このまま獣になれば良いのにね」

「けもの……」

「そ、ガオーッて。何も考えられない位に吠えてさ、生きてるとか死ぬとか考えないでさ、って、」

私の空想はきっと、人間を辞めてしまいたい君に届くだろう?

「…良いね、…ケモノ」

「良いだろ?」

「もし成れたとしたら、餓死したって、構わない」

しんでしまいたいのかい

「そーね」

妙に間延びした私の声が響く

「…これ、ちょうだい」

これ、と指したのは、私の渡したサポーター

「良いけど」

「……ありがと」

「うん」

其の儘君はゆっくり眼を閉じた

───嗚呼君の眼が此の儘醒めなければ


(二度と苦しまなくても良いのにね)


今の私には君を救う手立てが無いのです


(だったらいっそ、)


誰も望まない結末でも





構わないと思った





end


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