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鬱蒼‖短い昼休み。私は空を見ていただけだった。

鬱蒼









その日は

青い空が酷く広くて

私達はあの空に向かって羽ばたく事を強要されている学生だと思っただけで


酷く憂鬱だった。




「なぁ……」

「んー…」

出来ないペン回しを何度も繰り返す。

「俺さ、」

「うん」

ぱたん、ペンが転がった。


「男が好きなんだよね」

「ほう」

クラスメイトの告白に、本当は少し驚いた。

「……引かないのかよ」

「引かないってわかってて言ったんじゃねーの?」

コロコロ、ペンを指先で弾く。

「確信なかったしー」

「語尾を伸ばすな、アホ。」

「あはは、んでさぁ、」

「切り替え早いな」

頭が痛いよ、私は。

「良いっしょ。…んでね好きな男、居るわけだ。」

「他人事みたいだな…」

「まぁ、ね」

「んで、誰よ」

「……ん、と2番君」

「出席番号で言うなよ。…でもさ2番君とそんな仲良くねーじゃん。」

「俺は仲良くしたいの」

ぎ、と椅子が揺れた。

「イチャイチャ」

「馬ッ鹿ちげーよ」

「…違わないだろぉ」

そんな風に笑うソイツの顔は初めてみた。

「……キショ」

「うわムカつく。」

「黙れ恋する乙女。…違うな、男。」

男、とペンで机に書いて何してんだと消した。

「2番君、…ノーマルかなぁ」

「だろうよ。」

「バッサリ言うなよ」

あああと頭を抱えた。

「大いに悩めよ、青年」

くぁ、と欠伸をして、私は遠くを見た。

「悩みきった、如何しよ」

「知らねーよ。テメーの問題だろ」

「はぁー?冷てー女」

「馬ッ鹿優しさだろうがよ。自力で解決出来ない様な相手に惚れんじゃねぇ。」

「ぅおー、名言」

「解ったらさっさと行け、2番君とこ。」

「あ、おぉ」

「モタモタすんな。恋は逃げる。」

ガタン、とそいつは立ち上がって、2番君の処に向かった。

私は欠伸をして、机に突っ伏した。

(眠い眠い)

チリチリと、胸が焦げる様に痛む。

(欠伸の涙、生理的だなぁ)

頬を伝う前に消えていく涙に、理由なんて無い。

(そっかそっか、恋の季節か?)









恋を知った日に



恋を失った








(サヨナラ。君の幸せを祈るよ。)




end


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