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わるいこのはなし‖暗


私は悪い子です



オトウサンは何時も怒って居ました。

(きっと私が悪い子だから)

オカアサンは何時も殴られて居ました。

(きっと私が悪い子だから)

時々オトウサンのカウンターが私の鳩尾に決まったりもします。

その時私は初めて、人間は外傷で嘔吐出来るのだと知りました。

しかしオトウサンの怒る原因は私なので、決して抵抗は致しません。



此れは罰なのです。



だけど、何時しかオトウサンはお家に帰って来なく成りました。


空に赤い月が浮かぶ夜の事でした。


私は悪い子なので、きっとお月さまも私を罰したのでしょう。

(そして何時か太陽にさえ罰せられて、私は焼け焦げて仕舞うのでしょう)


それからオカアサンは少しオカシク成りました。

(きっと私が悪い子だから)


そしてタバコの火が当たるのは、非常に痛いのだと初めて知った。


泣きもしない私は悪い子なのでしょう。

オカアサンは私の短い髪を掴み、引っ張り回しまた。

痛いの、などとは言いません。

此れは罰なのですから。

(不思議と涙は出ないのです)

ずっと、ずっとこうしてきたから。





しかしなんて事でしょう!神様は本当に居るのです!


(オカアサン、)


なんて事!なんて事!






私の縄跳びで頸をお釣りになるなんて!



(オカアサン)



ぎっ、ぎっ、と縄が擦れておとがなる、なる。



───うふ、うふふ



其のだらしなく垂れ下がった手は

もう私をぶたないのですね

ぶたないのですね

引っ張ったりもしないのですね

嗚呼そしてそして





そして、



───もう私を撫でては下さらないのですね






仕方ないのです、赤い月の与えた罰なのです。



さよなら、オカアサン


先ず私は夕飯を買って来ます




怯えて泣く夜は、消えた




end


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