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簡単な愛‖佐→←幸 難しい人達



ガリガリ噛み砕くは細かく細工された干菓子。

直ぐに喉が渇いて、水を流し込んだ。

「ぐ……ゲホッ」

急に流し込んだ為に、気管に入って噎せた。

喉元に違和感を感じたが、再び干菓子を口に押し込んだ。


もう戻らなきゃ。

常世に。



邪魔なんだ、目の前の愛が。



ほらコイツみたくさ、ガリガリ噛み砕く事が出来たら良いのに。

こんな簡単に渇きの代わりに、甘さを呉れる。


君もこんな風にガリガリ噛み砕く愛を知ってるのかな。


どろどろに融けて、気が触れて仕舞った寂しい玩具。




如何かしら、貴方は真っ黒で真っ赤よ




妙に鋭い愚かな女の血が、苦無いを汚す。



蝶蝶の美しさなんて、

蛾の毒毒しい程の魅力に比べたら。


嫌い、

醜く膨張した愛なんて。



綺麗な事何て、一つも無い。


黒い


凝った闇に指を突っ込んだら


身体ごと引き摺り込まれるんだよ。


気持ち良い


突っ込んだだけの快楽なんて、

全然逝けない。



死ねる毒を頂戴よ。



絡む熱もざらつきも


足りないんだよ。


君だけが、致死量の毒を呉れる。



ああああ



キリキリ舞いをする



身体ごと引き摺り込んでよ。



ああああああ






あいしてる








其れだけなのに。



花が散る



真っ赤な牡丹が



ち、る



染まる、赤に、黒に

蝶蝶の夢は真っ黒な闇に沈むのだから。



あああ、触れないで

触れて仕舞う



袖を引く




逸そ毒蜂と成って殺して仕舞おうか。






「佐助?」

「なぁに」

「あいしてる」

「俺は嫌い」

「其れでも構わぬ」

「旦那って馬鹿だね」

「そうだな。如何せお前は俺から離れられないしな」

「酷いね」

「残酷なのはお前もそうだ」

ひょい、と干菓子を摘まみ上げる白い手。

「あ、こぉら」

大して非難する訳でもなく、只声を上げる。

幸村は口に放り込んだ干菓子を噛み砕いて、にんまりと笑った。

「干菓子は簡単だな」



噛み砕いて仕舞えば良い



「……そーだね。旦那の好きな団子くらい粘ついたら、其れらしいよねー」

「む。甘いが、な」

「旦那好きじゃない」

「好きだから良いのだ」








絡み付く愛が何時か

貴方を押し潰します様に。






end


あきゅろす。
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