twilight‖筆頭と佐助の戦 或意味死ネタ
静かに、とても静かに身体が揺れる。
其れでも法螺の音が聞こえない。
だから、退かない。
照らす夕陽が、徐々に色を増してるように思う。
(───夕陽とは何故こうも焦燥感に狩られるのだろう?)
ぼんやりと、頭の中で声が響いた。
俺は大して気にも留めずに考え続けた。
嗚呼、他の奴ら如何か、
皆死んだのか?
其れも、もう俺には判らないが、
此の戦場は、俺の正面に居る人だけ。
ゆらゆらと、遠ざかってゆく。
静かに、遠ざかってゆく。
町の灯も付かない、曖昧な時間。
妙な、不安感。
俺は冷たい鉤爪の付いた手を握り締める。
「───Twilight」
「───…、」
戦場に二人。
声を上げたのは奴だ。
正面に居た奴は、ゆっくりと顔をあげて俺を見た。
「…黄昏」
此の戦場には二人しか居ない。
「あぁ、判るのか」
「まぁね」
「Can you hean me?」
奴はそう叫んで、に、と好戦的に笑った。
「聞えてるよ」
肩を竦めて、武器を構えた。
「Ha!よく出来た忍だな」
「どーも───そんじゃ、行きますか」
「Comeon!」
蒼い炎が、
片目の龍が、
───さぁ、さぁ、行きましょう
───もう、戻れないのでしょう?
(嗚呼 闇に呑まれて)
Twilight トワイライト
(××は、どれだけの人を殺してきたのですか?)
(五月蝿い)
「Ha!余裕だなァ、余所見か?」
斜陽が、徐々に赤く
(嘘の嘘は、真実にしかたどり着かないのですよ。)
地面が揺れた。
(知ってた)
ぎし、と、指の関節が軋んだ。
鈍く光る其れは、夕陽の光だけではない赤さを発して、俺の手に当たり前のように納まっている。
「独眼龍、一つ───聞かせてよ」
「Why?」
俺は真っ赤な主人を思い出した。
「何故」
きん、と音を立てて、長い刃が斜陽を反射した。
「何故殺した」
「っ!」
真っ直ぐに生きた、真っ直ぐに俺を見てくれた。
「何故?何故殺した?」
一瞬表情を歪めて、龍は笑った。
「此れは、何の為だ?殺す為だろう?」
竜の爪痕に、抉られた地面。
「違う。守る、護る為だ。」
守ると、誓った筈なのに。
「何が違うんだ?」
刃が、肌を掠る。
(一つの真実が見えない癖に、何が護るだ)
「……ら、───だったら、万物の全てが御前には見えるのかよ!」
「!?」
振り払った刃が、空を舞った。
そして、声が重なった。
『───見ようとしない奴よりは、見えてるつもりだがね』
Twilight
日没
悪夢
Twilight
嗚呼 もう
戻れない。
「だったら、教えてくれよ……」
Twilight
日没と悪夢よ
黄昏が終われば、終焉の音が。
Twilight……
End
無料HPエムペ!