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心音に唇‖佐幸



赤い塊が、大の字に成って寝転んで居た。

「……旦那、こんな処で寝てたら風邪引く───、ん?」

揺り起こそうとした手を引っ込めて、童顔な主をついつい観察して仕舞う。

そして───酷く艶かしい肌蹴方を、何て思って仕舞った。

衝動的に、

然し優しく、上下する薄い胸板にそっと触れてみる。

柔い皮膚を透かし、心音が伝わって来た。



暖かい。



子供の様に太陽に照らされて、頬が淡い桜色に染まって居た。

(暑いのか…)

すっと掌を翳して、顔に影を落とすが、

其の掌で、つい頬に触れて仕舞った。

「う……」

ひやりとした感触に少し反応したが、矢張り心地良かったのかじっと動かなく成った。

クスクスと笑って、そっと手を離す。

(可愛いなぁ…)

何時の間にか、起こす気等消えて仕舞って居た。

暖かい太陽に照らされて、何だか此方も眠く成って来た。

(……)

無防備な寝姿に、心音が早まる。

「旦那……‥幸村…?」

眠ってるよ、な。

赤く色付いた、柔らかい唇に、


自分の唇をそっと重ねた。

「〜〜〜ッ……!」

たった其れ丈なのに、其れ丈の筈なのに、猛烈に恥ずかしく成って、

軽く自己嫌悪。

佐助は、ふて寝をする様に幸村の隣に寝転んで、唇を押さえた。




end


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