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5月5日

それは、並森の平和の秩序とも言える彼の誕生日。当人は僕の誕生日に学校が休みなんて、と愚痴を溢していた。だけど、私にとっては大好きな彼の誕生日だから祝ってあげたくて。










今日は彼・・・恭弥の誕生日、と言う事で私はお店を見ていた。もちろん手作りケーキでもいいな、と思ったのだけど何となく形に残るものが良かった。・・やっぱり固執してるのかな、私は。
恭弥はこの一年を最後に、イタリアに行くらしい。彼からは聞いてないのだけど、草壁さんに聞いたのだから本当なんだろう。
少し、悲しかった。もちろん彼にとっては私など何の意味も持たないんだろう。孤独を好み、何処までも行く、恭弥だから。それでも、わかっていても私は納得出来なかった。そんな自分が浅ましい、と思う。恭弥の彼女だからって自惚れてたのかな?
恭弥にとって私は、どうでもいい存在なの?
そんな心がぐるぐると私の中でただ回っていて、気が付いたら、泣いていた。泣いているという事実に、ちょっとびっくりしたけれど自分が泣いているという事に理解すると、もっと泣き出したくなって来た。やばい、本気で、泣く。「・・・・何してるの、」
その聞き覚えがありすぎる、声に私は振り向いた。「・・何で泣いてるのさ」
ちょっと困った様子で、私の頭を撫でる。その優しさに又泣きそうになる。「き、恭、やぁ・・・っ」声がかすれて、声にならない。それでも私は必死に理由を伝えようとした。「きょっ・・や・・イタリア、行くっ・・て・・・草壁さんが」
それを言うと恭弥の顔がちょっと歪んだ。ああ、やっぱり。彼は私を置いていくつもりなのだ、
「バカじゃないの、」
その言葉にびっくりして思わず彼を凝視してしまう。「僕が君を置いていく訳ないでしょ」言い終わると同時に抱きすくめられる。
「君は僕と一緒に行くんだよ」
私の意思を無視して断定する。ああ、彼らしいな、と思う。
その暖かさに肩を委ね、私は笑う。


「恭弥、誕生日おめでとう」


まだプレゼント買ってないんだけどな、
・・・・プレゼントより一緒に居たいんだけど。





(今日も明日も、君と一緒に過ごしてゆく)




素敵企画に参加させてくれて有り難う御座います!


4/15 提出




あきゅろす。
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