黒白ノ風 603 表面 木の葉の里の温泉街近くにある人気のない場所でナルト、白と合流した。 「こんな感じで里内ではサチは里抜けしていないということになっている」 「・・・」 ナルトは先ほどからこのようなことを言っているが、私としてはどうも腑に落ちない。 表面上はどんなに取り繕っても私が木の葉を裏切り暁に加担したことは事実なのだ。 「サチさんは何がそんなに気がかりなのでしょうか…」 ベンチにもたれながら私とナルトのやり取りを聞いていた白が口を開く。 「…いや、うん…いくら木の葉の里の人が気にしていなかろうが、私としては暁と木の葉の里を天秤にかけて暁をとった事実があるし…」 「だから木の葉の里に申し訳ない気持ちがある…と。・・・はぁ、サチって先を考えずに突っ走って後でどうでもいいこと気にするよな」 「・・・どうでもいいわけないじゃん。綱手お姉様にも迷惑かけただろうし…」 「…そもそもサチさんが暁に加担したことによる被害ってあるんですか?」 ひとつため息をついてから白がナルトに質問を投げた。 「サチが助けたっていう赤砂のサソリやらデイダラってやつが最近になって木の葉や他里に何らかの被害をもたらした報告もねぇし、アスマ先生が怪我したのも関わってねぇし、…むしろ綱手のばあさんに柏一族の医療技術を伝えたってことで医療の面では助かってるみたいだしな…」 「・・・」 柏の巻物を綱手姉さまに託したのは事実だ。 そういえばサソリもデイダラも暁を抜けたらしいし… ・・・言われてみればあまり迷惑かけていないような… いやしかし・・・ 私の思考を遮るように白が口を開く。 「迷惑かけてないじゃないですか」 「いやでもさ…」 「普段何も考えてないのに何でこんなことで考えるのか、理解しがたいです」 私なりの考えを述べようとしたところ、またもや白に遮られた。 「サチさんがどう思っていようと、木の葉の里のという帰れる場所があるじゃないですか」 「・・・」 それを白に言われると言葉の重みが増すように感じる。 帰る場所…私の帰る場所は木の葉の里なのか… …木の葉の里とかいうより、白やナルト、真白や綱手お姉様や暁の元メンバーがいるところに私は帰りたいな… 「いや、なんというか、私は白とかナルトとかが一緒ならどこでもいいや。木の葉に帰っても誰もいなかったら意味ないし」 「・・・」 「・・・」 ため息が2つ聞こえた気がした。 「本当にアホですね」 「全くだ。…ったく、話が逸れてるじゃねぇか。みんながいいって言ってるんだからお前は何も気にしなくていいんだよ」 「・・・」 確かにそれはカカシ先生と会ったとき実感した。 カカシ先生は今までと同じだった。 私が警戒して壁を作ってしまっていた。 「この話は終わりだ。お前は今まで通り何も考えないでいればいいんだよ」 「・・・」 今更気づいたのだけれども、さっきから白とナルトにけなされまくっているは気のせいではない。 [←][→] [戻る] |