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黒白ノ風
197 脱線
 「綱手は私が付き合っていた人知っているよね?」
おばばは話が始まるなり綱手に質問を投げた。
 「あぁ、しかしあいつはもう…」
対して綱手はとても言いにくそうである。
 「…まぁね、サチちゃんはその人との子よ」
 「なっ…それならサチは…」
 「すいませーん、話についていけませーん」
私は何だかいたたまれない気持ちになり、挙手をした。
付き合っていた?
子供?あいつ?
全く、恋バナならよそでやれよな。
そんなことも思っている。
 「…話は最後まで聞こうね?」
しかし、おばばに笑顔という名の殺気を向けられ、私は押し黙った。

 「ねぇ、綱手…あれからだいぶ年月が経っているのにそのときと同じ若さじゃなくて?」
 「お前こそ、全く変わっていないじゃないか」
綱手とおばばはいつの間にやら若さについての会話に花を咲かせていた。
双方とも口角を吊り上げ、小突き合っている。

 「二人とも話を脱線させるのはやめろ」
そこに真白が割って入る。
話し出したらキリがないのがおばさん達の会話である。
 「そうね・・・で、何の話ししてたっけ?」
 「…全くおぬしは…これだからいつもいつも話が意味不明な方向へと進むのだ。だいたいどうやったらそんなになれるのだ?我に教えてほしいものだ…しかも…」
 「オーイ、真白たん脱線してる」
…眠くなってくるから長話はやめてほしいものだ。

 「そうだったな。で、話の内容は何だったか?」
 「分からん…真白が長ったらしそうな話をするから…」
 「我のせいなのか?…里の火影ともあろうものが人のせいにするとはな…」
二人とも喧嘩が勃発しそうな勢いである。
真白と綱手お姉様って仲悪かったのかな?
おばば喧嘩止めろよ。
 「うふふ〜」
おばばに目をやると苛々している綱手と真白をにこやかに見守っていた。

駄目だ、おばばは使い物にならない。
…私が言うしかないか。
 「…さっきから、何の話だよ」
 「「「…忘れた」」」
意を決して言ったのだが、おばば、真白、綱手…三人とも同じ答えが返ってきた。
 「・・・」
私は目の前に歳老いたおばさん二人と2000年も生きているせいか白く、物覚えの悪い生き物がいるように錯覚し、目眩がした。

 「そうだ、サチが2年間行方不明だった理由を話そう」
 「そうね」
 「・・・」
さっきと話題ちがくね?
ひとりごちる私だった。

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あきゅろす。
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