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黒白ノ風
194 面会
バン!
 「火影!いや、火影様!!」
慌ただしい声と共に荒々しく火影邸執務室のドアが開け放たれた。
 「何だ騒々しい」
中で資料の整理をしていたらしい現火影、綱手が眉をひそめながら口を開いた。
目は相変わらず資料に向いている。
 「つ、連れ去られた奴が…帰ってきたんすよ!!」
キバがどもりながらそう言うと
 「何、連れ去られた奴だと?・・・・・・水野サチ…のことか?」
綱手はやっと資料から目を戻してから水野サチという単語を探り出し、キバに問いた。
 「はい、里内にいたところを赤丸が発見したんです」
 「ワンッ」

そう、私は木の葉の里では暁に連れ去られていたことになっているのだ。
しかも2年間も。
本当はもといた世界に行っていただけなのだが、そんなことは口が裂けても言えない。

 「…あの暁に連れ去られて生きて帰ってくるとはねぇ…」
綱手はしばしの間考え込む。
おそらく暁のスパイとして帰ってきたという考えも巡らせているに違いない。
違う人物かもしれないという考えもまたしかりである。

 「…ともかく、その水野サチってのははどこにいる?」
私に会って安否を確認しなければ話にならないといった言い草。
いくら火影といえどもこればかりは少々の混乱をまねいているようだった。

さて、そろそろいいかな?
 「…ここでーす」
今まで言葉を聞いていた私はタイミングを合わせ、開け放たれたドアから執務室へと入室した。
ほかじいがいたころとは打って変わって資料やら何やらが机の周辺に山積みにされていた。
山積みになっているものの下にも多量の紙が散らばっていた。

 「…うむ、スパイが出来そうな面ではないな…」
私の顔を見るなり、突然言い放たれた。
 「うぇ?」
スパイが出来そうな面ではない?
私、潜入捜査したことあるんすけど。

 「…!そうだ・・・犬塚キバ、もう下がっていいぞ」
思い出したかのようにキバに退出の指示をする。
 「あ、ハイ」
すると、キバは赤丸と共に執務室のドアから退出していった。
退出の際、少し出ていくのをためらっていた。
おそらく綱手が下す私の処理が気になっていた辺りであろう。しかし火影命令ということもあり、それを知ることはかなわなかった。

パタン
キバが退出した瞬間、一気に部屋の空気が変わった気がした。
一般人なら押し潰されてしまいそうな威圧。
それを綱手が放っていたのだ。
 「・・・お前は…」

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あきゅろす。
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