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黒白ノ風
186 独言
黙々と食事を続ける私達。
私はカブトに目をやる。
 「この前の奴ですけどね…」
などと言っているが、独り言か誰かに話しかけているのかは定かではない。

 「全く…やはりあいつはやっておくべきでしたね」
未だに一方的な話(?)をしている。
返答するものは、いない。
カブトにはただただ私の痛い視線が送られた。

 「・・・」
やはり独り言を言っているのか?
誰かに話しかけているのか?
…それよりこのグラタンはうまいな。
料理作ってる奴はメガネだけど
…あーでも、もうちょい味濃い方がいいな。

 「オイメガネ!マヨネーズ取れ」
 「…もう少し言い方っていうも…」
 「メガネ様ー、マヨネーズを取って下さいませー」
もちろんそのような言葉は微塵にも私の本心にはない。
その証拠に棒読みである。

 「・・・」
カブトは目の前にあるマヨネーズに手を伸ばし、無言で私に向かって投げた。
放物線を描いて私に向かってくるマヨネーズ。
 「あざーす」
…?ちょ待て。
あのマヨネーズ…黒い物体が浮いてないか?
私は黒い物体に目をこらす。
・・・カビだ!!!

 「うぁぁああアア!!!」
私は自らの一瞬の判断の直後に死に物狂いでマヨネーズをよけた。
ゴトッ
マヨネーズはそのまま不気味な音を立てて地面に落ちた。

 「何コレェ!!」
 「それかい?それはね…カビだよ」
フフ、と自慢げにメガネをくいっと上げながら言っている。
 「んな物渡すな!!」
私はマヨネーズをカブトに向かって投げた。
 「うごっ」
よける間もなくマヨネーズはメガネにクリーンヒットした。
メガネにヒビが…。

 「酷いな…」
 「お前がな。気付かずに食べてたら食中毒になってるよ」
 「食中毒?そんなか弱いそうには見えないけどな」
 「か弱い女の子だよ!v・・・まぁ自分のマヨネーズ使うからいいし」
私は懐を探り、マヨネーズを取り出した。
しかし、あるはずの中身はなく、ただのボトルが出てきた。
 「あれ?」
…ない。
あ、森にぶちまけてきたんだった。
そして先程の森でのサスケとのデスマッチ最中に中身をぶちまけたのを思い出した。
 「・・・」
 「・・・」
無言で立ちつくす。

 「ククク…」
私とカブトを見ていた大蛇丸は突然声を上げて笑い始めた。

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